韓国 6月に入って注目なのは米経済動向になるわけだが、こちらが予想したとおり、米利下げについてはどんどん遠のいている。ええ?数日前はドル円が154円だった?そんな話をしていたら、今は157円まで落ちている。それはウォンも変わらない。
ウォンも1366辺りで推移していたのだが、気がつけば1380ウォン。つまり、第4次マジノ線であるソロウォン陥落である。1380の意味については質問があったのでもう一度、解説しておこう。
まず、韓国のウォンレートで重要となるレートがいくつかある。それを韓国メディアは「マジノ線」と呼んでいる。マジノ線の意味は過去の第二次世界大戦でフランスとドイツの国境を中心に建設された要塞線のこと。
実際に使われた言葉なんだが、越えさせてはいけない。絶対死守したいラインだと思えば良い。ただ、マジノ線は過去の戦争でドイツ軍に迂回されて破られているのでわりと不吉な言葉なんだよな。まあ、それはいいか。
最初のマジノ線は1ドル=1200である。これは1200を越えたらウォン安と見なされる最初のレートだ。ただ、最近は1300がニューノーマル時代を迎えてるので、1200のマジノ線は過去のモノとなりつつある。ただ、これが第一のマジノ線であることにかわりない。
次に1300である。これが第2のマジノ線。1300までさがると韓国企業は原油や材料などの輸入物価の上昇で苦しくなる。最近、韓国メディアは1300台まで耐えられるとか述べているが、それなら半導体以外の輸出が全滅していることの説明ができない。実際、耐えられてないから韓国企業の利益が伸びずに負債が急増しているのだ。
第3のマジノ線は1350である。これが1380に到達する最終防衛ライン。ここを突破されると一気に第4次マジノ線である1380が見えてくるので韓銀は大規模介入で必死に1340まで抑えていた。しかし、最近はどう見ても無理だと諦めて防衛ラインを下げた。そして1380を突破させないようにしている。
しかし、米国の雇用統計で1380が突破された。第4のマジノ線である1400が見えてきたわけだ。だが、こちらは年内に1400を突破すると予測している。もちろん、これには米利下げの時期や回数が大きく関わってくる。ただ、1380までさがっている時点で利下げの年内に時期や遅れて、回数も減少する可能性が高いわけだ。
さて、ここからはこちらのオリジナルのだが、このマジノ線をガンダムの一年戦争に例えて捩っている。1300からソロウォン攻略戦、1350がウォン・ザム機動。1380がウォン・ザム撃破。ソロウォン陥落となっている。1380からテキニャス攻防戦とウォン・メスとの戦いである。つまり、数値と各イベントの進行度を見ればどれだけウォンが危険な領域にいるのかがわかるてことだ。
さて、ここまで説明したので最新の利下げ動向を見ておこうか。米雇用統計が予想外の好調である。
記事を引用しよう。
[7日 ロイター] – 米金融・債券市場では、国債利回りが大きく上昇した。5月の雇用者数の伸びが予想を上回ったことを受け、米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げに着手するとの観測が後退した。
5月の雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比27万2000人増と予想を大きく上回ったほか、賃金の伸びも加速。一方、失業率は4.0%と、3.9%から上昇した。
INGの米州地域調査責任者、パドライク・ガーベイ氏は、今回の雇用統計は「かなり強かった」とした上で、「労働市場が堅調ならFRBは利下げを急ぐ必要はない」と指摘。
LPLフィナンシャルのチーフ・グローバルストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は「労働市場が力強ければ消費も力強くなる。消費支出が継続し、インフレが加速する」とし、「FRBは今回の雇用統計を9月利下げの障害と見なす可能性がある」と述べた。
雇用統計を受け、市場ではFRBが9月までに利下げに着手するとの観測が後退した。
来週は11─12日にFRBが連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。FOMCの結果が発表される12日の朝には5月の消費者物価指数(CPI)が発表される。
財務省は10日に3年債(580億ドル)、11日に10年債(390億ドル)、13日に30年債(220億ドル)の入札を実施する。
終盤の取引で10年債利回りは15ベーシスポイント(bp)上昇の4.428%。2年債利回りも15bp上昇の4.87%。1日の上昇幅としては共に4月10日以来の大きさとなった。
2年債と10年債の利回り格差はマイナス44bpと、前日からおおむね横ばい。
米金融・債券市場=利回り上昇、雇用統計受け利下げ観測後退 | ロイター (reuters.com)
このように米国の雇用統計は予想外に強かったと。まあ、これも予想できたことだ。こちらはそこまで驚いていない。先週に各州の連銀総裁が利下げ時期について遠のく可能性について言及していた。もっとも、9月でなければ12月になるのか。そうなると利下げ回数も自動的に1回になるんだが。12月だし、年内で最後のFOMCになるからな。
6月に入って季節は夏が到来しようとしている。最近、すっかり暖かくなってきたと思うが、米利下げについての春は当分、やってこないと。最悪、年内の利下げすら消えるかもしれないしな。こちらとしてはドル円が157円となったことで、円テクで投資していた韓国人投資家が爆死しているのを飯ウマ案件かな。だから言ったじゃないか。そう簡単に円は上がらないと。
しかも、米大統領選挙が秋に控えているのでますます経済動向の判断が難しくなってくる。大統領選挙はお祭り騒ぎなので消費は増える傾向にある。夏は長期休暇ということでレジャーを楽しむ米国人も多いだろう。ますます米金利動向は複雑化していくわけだが、残念ながら年内に利下げ無しという最悪の予想に突き進んでいると。来週のCPIやPPIが怖いな。
では、マジノ線から米経済動向とみてきたが、そろそろ記事の本題に入ろうか。
今回のニュースは韓国企業に取っては致命的だ。まだホルムズ海峡封鎖には至ってなのだが、イランのフーシ波における紅海での民間船攻撃によって、コンテナ船は紅海を通れずにアフリカの南端である喜望峰ルートを迂回しなけれならなくなった。そのため。海運コストがどんどん上昇しているのだ。
さらに、ここに中国が輸出強化して大量に中国製を世界中にばらまいてるため、コンテナ船が足りずにこれも海運コストを引き上げる。しかも、米国が中国製品に100%高い関税をかけることが決まったので、それまでにできるだけ売ろうという駆け込み需要も増加。
喜望峰ルートだと荷物の到着は通常より何週間も遅い。しかも、遠距離になるので燃料費や人件費がさらにかかる。気がつけばその運賃は最大380%まで上昇している。つまり、韓国企業は大ピンチてことだ。もちろん、支払いはドルなのでウォン安が加速すると払う料金も高くなる。
では、記事を引用しよう。
コンテナ船の運賃が急騰している。5日の上海海運取引所によると、コンテナ運送市場の15航路の運賃を総合した指標である上海コンテナ運賃指数(SCFI)は先月31日基準で3044.77となり、2022年8月以来1年9カ月ぶりに3000を超えた。5月の1カ月間で50%ほど上昇した。海運の需要が少ない3-5月期に海上運賃がこのように急騰したのは異例という評価だ。
航路別にみると、紅海事態の影響でアフリカの喜望峰を回る航路を利用している米州・欧州航路の運賃上昇が著しい。6カ月前と比較すると欧州運賃が380%急騰し、最も比率が高い米国の西岸は279%、東岸は211%上昇した。
最近の海上運賃急騰の原因は、中東発紅海事態による物流問題、早まった需要期などが挙げられる。イランの支援を受けるイエメンのフーシ派が昨年末から紅海を封じて船舶を攻撃したため、主要海運会社は運航回数を減らしたり、紅海航路の代わりにアフリカ南端の喜望峰を回る航路を利用している。運航距離が長くなり往復時間が増えて船腹(船舶内の貨物積載空間)供給量が減ったため、運賃が上がるしかない状況だ。
また中国の「押し込み輸出」も海上運送の需要を増やし、運賃上昇につながっている。米通商代表部(USTR)が現在25%水準の中国産製品に対する関税を8月1日から最大100%に高める案を先月発表したため、中国が前倒しにして物量を海外に運んでいる。
韓国投資証券のチェ・ゴウン・アナリストは「現在のコンテナ市況は新型コロナ当時の物流問題を除いて比較できない水準」とし「最近の運賃急騰は中東発の要因のほか、海運の需要期待感のため」と説明した。NH投資証券のチョン・ヨンスン・アナリストも「アジア-欧州路線では船舶36隻が不足し、インドおよび中国を中心にコンテナボックスも足りない状況」とし「供給側の要因で当分は運賃上昇基調が続くだろう」と予想した。
海上運賃上昇は特に輸出企業に悪材料だ。長期運賃契約の比率が高い大企業は運送料急騰の衝撃を分散できるが、件単位で短期契約をする中小企業には直撃弾となる。北米地域への輸出依存度が高いタイヤ業界の関係者は「通常、下半期がタイヤ業界の需要期だが、今は船がないというケースも多いため、まずは船腹の確保に注力している」とし「5月までは従来の運賃で支払っていたが、6月からは欧州・北米・中南米などすべての路線の運賃が大幅に上がったため価格を圧迫している」と話した。
一方、海運業界は予想外の好材料を迎えている。金融情報会社エフエヌガイドによると、国内最大コンテナ船会社HMMの今年4-6月期の予想売上高は2兆7000億ウォン(約307億円)、営業利益は5363億ウォンと予想されている。これは前年同期比それぞれ27%増、234%増。
最高380%上昇…コンテナ船運賃、2年ぶり最高水準=韓国 | Joongang Ilbo | 中央日報 (joins.com)
海運運賃の急騰の流れは理解できていると思うが、気になるのはここだ。
また中国の「押し込み輸出」も海上運送の需要を増やし、運賃上昇につながっている。米通商代表部(USTR)が現在25%水準の中国産製品に対する関税を8月1日から最大100%に高める案を先月発表したため、中国が前倒しにして物量を海外に運んでいる。
つまり、中国企業が米国の関税が高くなる前に米国に大量輸出している。そのため、海運コストが急上昇していると。クリスマス商戦前などの繁忙期でもないのに海運コストが異例の上昇に繋がったと。しかし、コンテナ船は予約いっぱいで足りない。喜望峰ルートの迂回でコンテナ船の需要が供給が上回ったと。しかし、紅海でのフーシ派の攻撃は止まらない。結局、イスラエルとハマスの戦争が終わるまではこのままなのか。
海上運賃上昇は特に輸出企業に悪材料だ。長期運賃契約の比率が高い大企業は運送料急騰の衝撃を分散できるが、件単位で短期契約をする中小企業には直撃弾となる。北米地域への輸出依存度が高いタイヤ業界の関係者は「通常、下半期がタイヤ業界の需要期だが、今は船がないというケースも多いため、まずは船腹の確保に注力している」とし「5月までは従来の運賃で支払っていたが、6月からは欧州・北米・中南米などすべての路線の運賃が大幅に上がったため価格を圧迫している」と話した。
海上運賃の上昇は製品価格の値段にも影響してくる。当然、高い輸送料を支払えば製品に上乗せしないと利益がでないからだ。これはタイヤ業界だけではなく、韓国は輸出で食べている国なので海運コストの上昇はかなり厳しい。そこにウォン安の流れが止まらない。
ただでさえ、高金利・高物価が続き、体力の無い企業、ゾンビ企業が量産されている韓国。海運コストの上昇は今までギリギリに耐えてきた中小企業にトドメを刺すんじゃないか。どのみち輸入物価が押し上げられるとインフレが止まらない。中国製品の大攻勢はこの先もどんどん続く。なぜなら、デフレで内需が死んでいる中国は輸出にかけるしかないからだ。しかし、安い中国製が出回れば当然、韓国製は淘汰されていくので、韓国企業はどんどん苦しくなる。
結果は中国製に圧倒されて韓国企業が消えていく未来しかみえないと。本当、韓国には半導体しかないよな。でも、半導体一歩足打法も米国、日本などの先進国が半導体開発競争に参入してきたので将来的には勝ち目はない。いよいよ韓国は売るものがなくなってきていると。