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ウォン安の恐怖 「ドルスマイル」に力失う韓国銀行…通貨政策転換は容易でない

ウォン安の恐怖 2024年も6月15日を過ぎたことでだいたい半年が過ぎたことになる。数年前から韓国経済を看取る上で重要な米金利。これは韓国ウォン、つまり、ウォンレートへの重要な関係もある。そのため、毎日の米経済動向も追っているわけだが、米CPI、米PPIと立て続けに重要な指標が発表された。そして、6月のFOMCも開催されたわけだが、今度の米利下げについての最新動向はどうなってるのか。

とりあえず、ゴールドマンとJPモルガンなど各ヘッジファンドでは予測が異なっている。

[13日 ロイター] – UBSグローバル・リサーチは、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始時期の予想を9月から12月に変更した。

ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーは引き続き9月の利下げ開始を予想している。

FRBが12日公表した最新の金利・経済見通しでは年内に1回の0.25%ポイントの利下げ実施が想定され、利下げ着手は12月になる可能性が示された。 

UBSのエコノミストは12日付のリポートで「9月の利下げ観測が復活するには、データを受けて多くの人の考えが変わる必要がある。今後2カ月でそうした動きが始まらなければならない」と指摘した。

JPモルガンは引き続き11月の利下げ開始を予想しているが、リスクは12月よりも9月の方に「少し」傾いていると指摘した。

BofAグローバル・リサーチは引き続き12月の利下げ開始を予想している。

CMEのフェドウオッチによると、市場が予想する9月利下げの確率は61.5%。12月利下げの確率は93%に達している。

UBS、米利下げ開始12月と予想 GSとモルガンSは9月 | ロイター (reuters.com)

どうやら12月に利下げ。回数は1回というのが信憑性を帯びてきた。おそらく多くの投資家は9月か、12月に利下げするだろう。回数は1回程度。これが6月のFOMCが終わっての市場予測だ。問題は9月か、12月に利下げされるという予測が出てもウォンは下がっているてことだ。

先週のウォンレートは時間外で1383ウォンで終えている。こちらは1400を年内に到達するだろうとみているわけだが、それも現実味を帯びている。残り17ウォンしかないのだ。しかも、利下げが12月なら、韓国の銀行はそれまで利上げができないてことになる。

韓国の内需がハイパーインフレで壊滅的なことは何度も取り上げたが、内需を活性化させる方法で一番、簡単なのは金利を下げることだ。金利が下がれば庶民や企業の利息負担が減る。するとそれだけ消費や設備投資に回しやすくなる。もっとも、韓国経済の現状において金利を下げたら内需活性化するというのは実はかなり議論の余地がある。

韓国の債務は、企業、家計、自営業などを含めて全て世界トップレベルである。金利を上げても債務が増えるのに、金利を下げたら、さらに債務が増える可能性が高いのだ。これは不動産市場の活性化、いわゆる不動産投機が再発するためである。韓国の家計債務の7割は不動産ローン。その不動産の変動金利が7割となっている。政策金利が下がれば銀行の貸出金利も減少する。

また、金利を下げれば、米韓金利差が拡大するのでウォン安を加速化させる恐れがある。韓国銀行は輸入物価を押し上げるウォン安を食い止めたい。しかし、毎日、為替介入して外貨準備高大幅減少させても、現状では1380ウォン台。とても食い止められているようには見えない。

でも、金利を下げないと企業の値上げラッシュが止まらず、ハイパーインフレが加速して、内需壊滅がますます深刻化していく。韓国が12月の米利下げを悠長に待っている時間などない。なぜなら、利下げのタイミングを見逃せば、市場は織り込んでいくのでウォンが急騰する可能性がどんどん減るためだ。

だから、韓国経済の専門家の意見として、韓国は思い切って米国より早く利下げに踏み切る方が良いと述べている。利下げするリスクはあるが、実は世界的な流れでは米国の利下げ待たずに欧州なども利下げに動いている。米国の利下げなんて待って、今年の12月とかいわれても最悪だからだ。金利が高いと何処の国も苦しい事情は同じだ。米韓金利差を意識するのはいいが、そんながんじがらめでは利下げしたときにウォンはそのまま売られていくかもしれない。

韓国銀行は利下げすればウォン高になると考えているようだが、その考えは浅はかだ。それはドル円の動向を見ればわかる。実際、日銀がマイナス金利を解除して利上げしても「円安」は進んだ。韓国ウォンもこれと同じになる可能性が高いのだ。だから、どうせ利下げするなら、米国よりも先にするほうがいいわけだ。ウォン安が進んで1400越えても、何より庶民は助かる。分が悪い賭けではないとおもう。

どうするかは知らないが、このままでは韓国内需は死んだままだ。決めるのは韓銀総裁だが、市場は予想通りの結果にはあまり反応しない。

では、前置きはこのくらいにして韓国ウォンの現状についての記事を引用しよう。

ドルは米国の景気が熱ければ熱いなりに、冷めれば冷めたなりに価値が上がる傾向がある。現在は米国景気が巡航しているだけに「強いドル」に勢いがある。韓国は米国の景気が「適度に温かい」状態に入り込むことだけを待つ姿だ。米国より先に金利を下げるのは現在では選択肢の外だ。為替相場が1ドル=1400ウォン台を超えるか懸念するからだ。

最近外国為替市場ではいわゆる「ドルスマイル理論」が注目されている。米国経済が好況と不況の両極端の時にドルが強さを増すという理論だ。米国経済が良ければドルは当然高くなる。米国経済が悪くなれば世界の景気低迷懸念で安全資産に対する需要が集まりドルの価値が上がる。

スマイルという名前がついたのはグラフの横軸を景気状況、縦軸をドル相場に置いた時に横軸の終端に行くほどドルの価値が上がる形が笑う姿と似ているからだ。モルガン・スタンレーの経済分析家だったスティーブン・ジェン氏が主張した理論だ。

ドルスマイル理論によると、米国経済がグラフの中間(適当な軟着陸)に入り込むと強かったドルの勢いが弱まる。言い換えると①米国で景気低迷の信号が現れ②米連邦準備制度理事会(FRB)が金利を下げた時③景気が大きく鈍化しない――という「絶妙な」条件を満たさなければならないという話だ。外部変数であるロシアとウクライナの戦争、イスラエルとハマスの戦争が終わる場合にもドル人気が下がるかもしれない。強いドルの時代が当分続くという見通しの背景だ。

だがドルが笑うだけで他の通貨は笑えない状況だ。通貨価値下落の懸念にもかかわらず、最近欧州中央銀行(ECB)が約2年ぶりに政策金利をこれまでの4.5%から4.25%に0.25%下げた。景気低迷をより深刻な問題と判断するからだ。

だがFRBより10カ月早く基準金利を引き上げた韓国は依然として通貨政策の転換には慎重だ。企画財政部外国為替当局関係者は「韓国が米国より先制的に通貨政策を転換するのが難しい最大の理由は為替相場が危険水位を超えるという懸念のため」と説明した。

一般的に自国通貨安は貿易収支に肯定的な影響を及ぼす。だが韓国は最終消費財である自動車を除いた主力輸出品である半導体、鉄鋼、石油化学とほとんどが中間財でドル高を商品価格にすぐ反映しにくい構造だ。ドル高で輸入品価格が上がる場合、どうにか押さえていたインフレが頭をもたげる可能性がある。先に通貨政策を転換する場合、副作用だけが大きくなりかねないという話だ。

先月16日に1ドル=1351ウォンまでウォン高が進んだが再び下降線に乗ると12日には1376ウォン台で取引された。下半期の為替相場1400ウォン台を脅かす変数が随所にある。外国為替専門家は中東戦争拡大の有無、11月の米国大統領選挙、最近の欧州議会選挙での極右政党の躍進に注目する。

新韓銀行のエコノミスト、ペク・ソクヒョン氏は「米国の利下げ延期はすでに定数になった。為替相場が1400ウォン台に進入する可能性を残しておかなければならない」と予想する。

「ドルスマイル」に力失う韓国銀行…通貨政策転換は容易でない | Joongang Ilbo | 中央日報 (joins.com)

この記事を読んで納得した人は多いんじゃないか。

最近外国為替市場ではいわゆる「ドルスマイル理論」が注目されている。米国経済が好況と不況の両極端の時にドルが強さを増すという理論だ。米国経済が良ければドルは当然高くなる。米国経済が悪くなれば世界の景気低迷懸念で安全資産に対する需要が集まりドルの価値が上がる。

米国の景気が良くても、悪くても、ドル高になるという理論。それがドルスマイル理論だ。後は大きな戦争が起きてるときもドルが強い。ドルが強い=ウォン安である。

だがFRBより10カ月早く基準金利を引き上げた韓国は依然として通貨政策の転換には慎重だ。企画財政部外国為替当局関係者は「韓国が米国より先制的に通貨政策を転換するのが難しい最大の理由は為替相場が危険水位を超えるという懸念のため」と説明した。

彼らの想定する危険水域は1400辺りらしいが、1380まで落ちてるのでそこまでレートは変わらないんじゃないか。1380で大丈夫とは到底、思えないんだが。現に1380まで下がってるからこそ、原油などを始め、輸入物価高騰でハイパーインフレが起きているんじゃないのか。為替相場をたかが20ウォン守ったところで、庶民は死にかけているんだが。

豚バラ肉200グラム2800円とか。キャベツが一袋3000円とか。牛乳価格は世界9位だったか。オレンジやリンゴ、なしなども高騰していた。韓国の食料品価格がどんどん上がっている。韓国政府は必死に補助金出して、インフレを抑えようとしているが、そもそも、アホで無能なユン氏ではどうしようもない。今頃になって必死に中国産野菜を輸入してるぐらいだしな。

一般的に自国通貨安は貿易収支に肯定的な影響を及ぼす。だが韓国は最終消費財である自動車を除いた主力輸出品である半導体、鉄鋼、石油化学とほとんどが中間財でドル高を商品価格にすぐ反映しにくい構造だ。ドル高で輸入品価格が上がる場合、どうにか押さえていたインフレが頭をもたげる可能性がある。先に通貨政策を転換する場合、副作用だけが大きくなりかねないという話だ。

理屈はわかるんだが、副作用怖くて様子見という段階は既に過ぎた。さっさと利下げしなければ、この先、ウォンを上げる材料がなくなる。ドルスマイル理論でも書いてあるだろう?米国の景気は強いままだ。しかも、11月には大統領選挙という4年に一度のお祭りがある。12月はクリスマス商戦もある。こんな一大イベントが迫ってくる状況で米国の消費が急に落ち込むはずがないんだよな。

そうなれば12月に利下げしたところでウォン安が止まる保証はどこにもない。韓国の大好きな言葉で述べると韓銀が利下げするゴールデンタイムは今しかない。この予測が半年後に当たってるかは知らないが、だから言ったじゃないかと、多分、こちらは突っ込んでることだろう。

先月16日に1ドル=1351ウォンまでウォン高が進んだが再び下降線に乗ると12日には1376ウォン台で取引された。下半期の為替相場1400ウォン台を脅かす変数が随所にある。外国為替専門家は中東戦争拡大の有無、11月の米国大統領選挙、最近の欧州議会選挙での極右政党の躍進に注目する。

新韓銀行のエコノミスト、ペク・ソクヒョン氏は「米国の利下げ延期はすでに定数になった。為替相場が1400ウォン台に進入する可能性を残しておかなければならない」と予想する。

大丈夫。1400がニューノーマルがもうすぐやってくる。必死に介入しても、もう、ソロウォンの悪夢からも抜け出せない。韓国はドル1強時代で、新しい1400ウォン時代を迎えるのだ。

輸入物価高騰。いくらウォン安でも、日本が「円安」だから韓国製品は全く売れない。だから、必死に日本は円安止めてと叫ぶも、日銀は利上げには慎重な姿勢だ。韓国は勘違いしているが、韓国製が売れる理由がもうない。安いのは中国産。高品質は日本産。円安でお得。

この現状において、韓国輸出は半導体だけが好調。韓国政府は半導体が好調なら経済の青信号らしいが、その半導体だって中国が凄まじい巨額投資を繰り返しているし、韓国が中国に技術を売るのでそのうち追い抜かれる。日米は半導体協定で連携強化。米国は自国内で半導体世の生産体制を整えている。生成AIブームで延命できたSKハイニックスだって、米マイクロンの逆襲が待っている。

じわじわと外堀を埋められている。だが、韓国がそれに気づくか、気づかなくても、その時代の流れは止められないのだ。数年前、この時代の流れを予測したが、その流れは生成AIの脅威のイノベーションでさらに加速化した。米アップルがCHATGPTを手を組んだ。次のiPhoneにCHATGPTが搭載される。AIがどんどん身近になりつつある。だが、AIは韓国には笑ってくれない。