注目のFOMC FRBの利上げ停止観測強まる、銀行破綻・市場混乱でーSVB破綻はソフトバンク危機!?[動画]

来週、開催されるFOMCの注目度は今までと比べものにならない。アメリカ経済について疎い人間でもそれだけは容易にわかる。なぜなら、アメリカはシリコンバレーバンクやシグネチャー銀行の2つの破綻で金融危機に見舞われているためだ。金融というのは恐ろしいもので1つの銀行が潰れたらそれで終わりではない。銀行同士が様々な形で繋がっており、1つが破綻しただけで正常なサイクルが狂ってしまうことがある。

そもそも多くの米銀行はゼロ金利時代の米国債を大量に買いこんでいるだろう。だが、米国債も1年後には相当な割引価格でないと引き取り手がいない。額面が同じで、金利0%台と4%台ならどっちを買うかなんて明白だろう。もちろん、金利4%の方だ。このように2つの銀行が経営破綻して終わる話でもなく、アメリカだけではなく、それが欧州最大手のクレディスイスにまで至った。

今週は本編とウォンニャス速報で米経済やダウの流れを追ったが、まさにそれは世界同時株安とパニック売りの連続だった。今週のダウは-381ドルぐらい下げて終わったが、これも金融不安だ。ファーストリパブリック銀行が4兆円の支援を受けても、それでも株価は30%急落。まあ、増資懸念ならストップ安というのはアメリカにはないが一気に売られたと。

しかも、米雇用統計でも利上げ凍結になりそうなのがいくつも出てきた。後はFOMCで利上げ凍結なのか。それとも0.25%なのか。どうせなら視聴者さんにアンケートで回答をもらおうか。ということでさっき作ってきた。因みにこちらは金利0.25%を予測している。

これについてどうしてなのか。記事の要点を整理しながら回答しよう。前半は利上げ動向について。後半はソフトバンク危機についてだ。これは偶然、見つけた記事だが面白い内容だったので取りあげておこう。

■記事の要点

1.先週、米国の地銀2行が経営破綻したことをきっかけに、金融不安がより広範囲に及ぶとの懸念が広がったことを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げサイクルは終了したと予想する投資家が増えている。CMEグループがまとめたデータによると、金利先物市場の投資家は、FRBが3月21~22日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送る確率を60%とみており、14日の30%から上昇した。実際にそうなれば、政策金利は4.50~4.75%に据え置かれることになる。

2.FRBは過去1年間に開催した8回のFOMCで毎回利上げした。40年ぶりの高水準に達したインフレ率を抑えるため、1980年代初頭以来の急激なペースで利上げしている。米国債相場は15日、銀行システムの健全性に対する懸念の広がりを受けて急上昇(利回りは急低下)した。

3.ボストン地区連銀のエリック・ローゼングレン前総裁は15日にツイッターへの投稿で、「金融危機は需要破壊を引き起こす。銀行は信用供与を減らす。消費者は大きな買い物を控える。企業は支出を先送りする」とし、需要破壊がどの程度かを判断できるまで利上げは「停止すべきだ」と述べた。

4.米金融大手JPモルガン・チェースのチーフエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は「いま利上げを中断すれば、FRBのインフレに対する決意の真剣さについて誤ったシグナルを送ることになる」と述べた。金融の安定性に対する不安から、FRBが利上げをためらう一方で利下げを急ぐとの懸念を助長しかねないという。

5.FRBの金利動向が不透明であることから、先物市場では、FRBが7月までに利下げを開始する可能性があるとの見通しが示された。15日時点で、年末までにFRBが金利を4%未満に引き下げる可能性が70%近くあるとみられている。

6.ソフトバンクグループ(SBG)の株価はこの1週間で14%下落した。しかし、同社が出資したスタートアップ企業が軒並み破綻する最悪の事態は避けられそうだ。米政府は今週、スタートアップ企業やベンチャーキャピタル(VC)ファンドの資金が大半を占めるSVBの預金を全額保証する介入措置に踏み切った。その決定後、SBGはSVBの破綻が投資先企業に重大な影響を与える可能性は低いと述べた。しかし、米国のVCの支援を受けるIT企業やライフサイエンス企業の半数近くがSVBに預金するなど、同行はハイテク業界の要となっていたため、SBGにも波紋は及ぶだろう。一つは、今回の騒動が、新規資金が既に枯渇しているスタートアップ企業の評価額にさらなる打撃を与える可能性があることだ。

7.ここ数カ月、公開市場と非公開市場の株式の評価額には大きな隔たりがある。CBインサイツによると、2020年以降に上場したIT企業上位50社の時価総額合計は60%近く下落。金額にして、6000億ドル余り吹き飛んだ。一方、レートステージ(成熟段階)にある非上場スタートアップ企業の2022年10-12月期の評価額中央値は依然、2020年の水準を上回っている。

その一因は、昨年は資金調達市場が冷え込み、比較的好調なスタートアップ企業しか資金を調達できなかったことにある。SVBの破綻で、さらに多くのスタートアップ企業が株式での資金調達に消極的にならざるを得なくなれば、評価額はさらに下押しされる可能性がある。

8. そうなればSBGにとって問題だ。同社は運用資産1000億ドルのビジョン・ファンドとその後継ファンドを通じて何百社ものスタートアップ企業に投資してきた。ジェフリーズの推計によると、ビジョン・ファンドの上場ポートフォリオの価値は2022年初め以降50%余り下落しているが、SBGはビジョン・ファンドの非上場保有株の評価額を20%しか切り下げていない。

以上の8つだ。では、順番に見ていこうか。

まず1だが、投資家の間では利上げを見送る確率は60%。金融不安で一気に上昇したと。さて、ここでこちらがどうして利上げは0.25%になると予測したのか。その根拠を述べる。

1つは確かに米消費者物価指数は6.0%と前回より、下がったことでインフレ傾向は鈍化した。しかし、コア指数では逆に0.5%上昇していた。だから、このまま行けば利上げは0.5%だろうという見方が大半だった。だが、米銀行の経営破綻の影響による金融不安でこれ以上、銀行を経営破綻に追い込むことは出来ない。ここは凍結して様子を見るだろう。

その見方は悪くないと思う。ただ、こちらは欧州、ECBがクレディ・スイスの危機にもかかわらず、0.5%の強気な利上げに踏み切った点に注目した。ええ?そんな情報知らない?確かにまだ取りあげてないので記事を引用しておくか。

欧州中央銀行(ECB)は16日の理事会で、3会合連続となる0.5%の大幅利上げを決めた。スイスの金融大手クレディ・スイス・グループの経営不安などが高まったものの、インフレ抑制を優先した格好だ。ラガルド総裁は「すべての手段を使って対応する用意がある」と述べ、欧州金融システムの安定を保つことを強調した。

ラガルド氏は記者会見で「現在の市場の緊張を注意深く監視している」と述べた。ユーロ圏の銀行は「(金融危機の)2008年に比べて格段に強固だ」と指摘し、さらに必要に応じて流動性支援に乗り出す方針も示した。米シリコンバレーバンク(SVB)の破綻後、主要中銀の政策決定は初めてでECBの判断に注目が集まっていた。

主要政策金利は3.5%と08年10〜11月以来の高水準に引き上げる。先行きの利上げペースは、不確実性が高まっているとして「データ次第」と述べるにとどめた。次回5月会合ではインフレの長期化を視野に利上げ幅を見極める方針だ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR16BAB0W3A310C2000000/

欧州経済まで拡大したら、範囲が壮大過ぎるのだが、実はアメリカより、高物価にユーロ圏内は苦しんでいる。2月のユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比の伸び率が8.5%と高止まりしているという。欧州だってウクライナ戦争によって、天然ガス高騰、電気代高騰などで凄まじい勢いでインフレが進んでいる。4%でも物価高と感じるのに8.6%だからな。クレディ・スイス危機だろうが、インフレを抑えなければ、最後はドボンだ。ECBは0.5%の利上げに踏み切った。

このような動きを見れば、アメリカもインフレ高止まりは避けたい。金融危機であっても、インフレ対策を放置するのは難しい。よって0.25%の利上げになるんじゃないか。こんな感じの予想だ。

次に2はただの経緯なので割愛。3は金利凍結すべきだという意見。もっともな正論だが、インフレは待ってくれないんだ。対策が一歩遅れるだけでも、高止まりする恐れがある。しかし、0.25%上げて、別の銀行が経営破綻となれば、米景気は一気に落ち込むだろうな。

それで4のほうがこちらの意見に合っている。利上げ支持だ。景気後退させてもインフレを退治する。でも、金融不安なので止めます。様子見ますだと、この先、金利を逆に上げられなくなる。しかも、5に行けば上げるどころか、下げる予測まで出てきた。ここまで上げてきて急に下げるとか。国民は納得するんだろうか。でも、年末までに金利下げる予測が70%とかあるな。まじか。そんな早く金利下げるのか。

次に6だが、ソフトバンクといえば、日本では携帯会社のイメージが強いが、ソフトバンクグループは先端IT企業などに投資する投資会社としても有名である。だから、世界同時株安とかになればソフトバンクグループの株がわりとよく売られるわけだ。しかも、今回はSVB破綻でソフトバンクグループが主に投資するスタートアップ企業が軒並み破産するかもしれない危機だった。文中にも書いてあるがはこの1週間で14%下落した。

まあ、預金は保護されたので全滅ということはないのだが、この先、金融不安で米銀行がスタートアップ企業に貸し渋る未来は見えている。

しかも、スタートアップ企業というのは成功する確率はそこまで高くない。新ビジネスなんてそんなものだ。実績がある企業ならまだしも、ベンチャー企業がほとんどだ。だから資金が枯渇しているような企業も多いと。

7はちょっと難しいのだが、2020年に上場しているスタートアップ2020年以降に上場したIT企業上位50社の時価総額合計は60%近く下落。金額にして、6000億ドル余り吹き飛んだ。でも、非上場スタートアップ企業は市場で評価されないので、評価額中央値は依然、2020年の水準を上回っている。これは評価損を正しく計上できてない恐れがあると。

それで8はソフトバンクグループはビジョン・ファンドの非上場保有株の評価額を20%しか切り下げていない。でも、実際はもっと多い。評価損がになっているだろうという話だ。正しく評価するとソフトバンクグループの保有資産が一気に目減りする恐れがあると。まあ、実際、どんな会計しているか知らないが。

先週、米国の地銀2行が経営破綻したことをきっかけに、金融不安がより広範囲に及ぶとの懸念が広がったことを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げサイクルは終了したと予想する投資家が増えている。

 CMEグループがまとめたデータによると、金利先物市場の投資家は、FRBが3月21~22日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送る確率を60%とみており、14日の30%から上昇した。実際にそうなれば、政策金利は4.50~4.75%に据え置かれることになる。

FRBは過去1年間に開催した8回のFOMCで毎回利上げした。40年ぶりの高水準に達したインフレ率を抑えるため、1980年代初頭以来の急激なペースで利上げしている。米国債相場は15日、銀行システムの健全性に対する懸念の広がりを受けて急上昇(利回りは急低下)した。

 米銀株が売られ、スイスの金融大手クレディ・スイス・グループの株価も15日に急落したことで、投資家は、経済的苦境に陥ることへの不安から金利見通しが低下し、リスク資産を売って安全資産を買う動きが出る、との見方でおおむね一致した。

 ボストン地区連銀のエリック・ローゼングレン前総裁は15日にツイッターへの投稿で、「金融危機は需要破壊を引き起こす。銀行は信用供与を減らす。消費者は大きな買い物を控える。企業は支出を先送りする」とし、需要破壊がどの程度かを判断できるまで利上げは「停止すべきだ」と述べた。

 一部の専門家は、FRBが来週0.25ポイントの利上げに踏み切ると予想し、中央銀行がインフレ対策の余波に過剰反応することのリスクを強調する。

米金融大手JPモルガン・チェースのチーフエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は「いま利上げを中断すれば、FRBのインフレに対する決意の真剣さについて誤ったシグナルを送ることになる」と述べた。金融の安定性に対する不安から、FRBが利上げをためらう一方で利下げを急ぐとの懸念を助長しかねないという。

 FRBの金利動向が不透明であることから、先物市場では、FRBが7月までに利下げを開始する可能性があるとの見通しが示された。15日時点で、年末までにFRBが金利を4%未満に引き下げる可能性が70%近くあるとみられている。

 FRBのジェローム・パウエル議長は1週間前(銀行の破綻が相次ぐ前)、0.5ポイントの利上げを示唆していた。このため、投資家は年内に政策金利が5.6%まで上昇する可能性があると予想していた。

 この発言の後、シリコンバレー銀行(SVB)の保有債券の損失が懸念され、米財務省と銀行規制当局は12日、中小銀行の顧客の信頼回復に向けて積極介入を余儀なくされた。

https://jp.wsj.com/articles/bank-failures-market-turmoil-fuel-bets-on-a-pause-in-fed-interest-rate-increases-d0652b05

ソフトバンクは銀行ではない。しかし、多くのIT(情報技術)スタートアップ企業に資金を提供してきた同社も、シリコンバレー銀行(SVB)破綻の余波に揺さぶられそうだ。

 ソフトバンクグループ(SBG)の株価はこの1週間で14%下落した。しかし、同社が出資したスタートアップ企業が軒並み破綻する最悪の事態は避けられそうだ。米政府は今週、スタートアップ企業やベンチャーキャピタル(VC)ファンドの資金が大半を占めるSVBの預金を全額保証する介入措置に踏み切った。その決定後、SBGはSVBの破綻が投資先企業に重大な影響を与える可能性は低いと述べた。

 しかし、米国のVCの支援を受けるIT企業やライフサイエンス企業の半数近くがSVBに預金するなど、同行はハイテク業界の要となっていたため、SBGにも波紋は及ぶだろう。一つは、今回の騒動が、新規資金が既に枯渇しているスタートアップ企業の評価額にさらなる打撃を与える可能性があることだ。

 調査会社CBインサイツによると、2022年の世界のベンチャー資金調達額は前年比35%減の4150億ドル(約55億3800万円)となり、下半期に大きく落ち込んだ。

 また、スタートアップ企業は一般的に、以前よりも低い評価額で資金調達をする「ダウンラウンド」を嫌がる傾向があるため、借金で賄っている企業もある。

 調査会社ピッチブックと全米ベンチャーキャピタル協会(NVCA)のリポートによると、米国のVCの支援を受けるITスタートアップ企業の借入額は昨年、290億ドルに増加した。SVBのIT・ライフサイエンス企業顧客の2022年10-12月期の借入残高は163億ドルと前年同期比23%増えていた。同行によると、一部の顧客は「下押しされた評価額」で株式による資金調達をするよりも借金をすることを選んだという。

 SVBの破綻は、VCやプライベートエクイティ(PE)ファンドにとって「ツケの精算日」を前倒しし、未公開スタートアップ企業の保有株の評価額切り下げを余儀なくされる可能性がある。ジェフリーズのアナリスト、アトゥル・ゴヤル氏はそう話す。

ここ数カ月、公開市場と非公開市場の株式の評価額には大きな隔たりがある。CBインサイツによると、2020年以降に上場したIT企業上位50社の時価総額合計は60%近く下落。金額にして、6000億ドル余り吹き飛んだ。一方、レートステージ(成熟段階)にある非上場スタートアップ企業の2022年10-12月期の評価額中央値は依然、2020年の水準を上回っている。その一因は、昨年は資金調達市場が冷え込み、比較的好調なスタートアップ企業しか資金を調達できなかったことにある。SVBの破綻で、さらに多くのスタートアップ企業が株式での資金調達に消極的にならざるを得なくなれば、評価額はさらに下押しされる可能性がある。

 そうなればSBGにとって問題だ。同社は運用資産1000億ドルのビジョン・ファンドとその後継ファンドを通じて何百社ものスタートアップ企業に投資してきた。ジェフリーズの推計によると、ビジョン・ファンドの上場ポートフォリオの価値は2022年初め以降50%余り下落しているが、SBGはビジョン・ファンドの非上場保有株の評価額を20%しか切り下げていない。

 SVBの破綻で、2020年と21年のIT資金調達の絶好調時代は劇的な幕引きを迎えた。その時代のムードを体現していたSBGは、手痛い調整を迫られることになりそうだ。

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