韓国 米国発H4Lの恐怖、韓国も危機感…「貸付戦略新たに立てなければ」

韓国 今日から月曜日。今週もウォン市場が開幕したのでウォンウォッチをしていたわけだが、やはり、1350というのが韓国ウォンのニューノーマルとして定着してきている感じがする。今までは1340台だったのだが、10ウォンほど標準が下がったことになる。問題はこの1350は毎日、大規模に介入してなんとか押し戻しているだけであって、本来、ウォンはもっと安値であることが想定される。それはドル円を見れば容易にわかるだろう。ドル円は150円近くで留まっている。日経平均も振るわない。気がつけば31000円を割れそうなところまで落ちている。

このように米国の長期金利維持の影響が証券市場の不安要素になり始めている。韓国総合株価指数、コスピも2400をわれており、上海総合指数も2950と3000割れてからさらに落ち込んでいる。今日は世界の株式を見てもほとんど下げている。ただ、リーマンショックみたいな大幅下げというものでもない。だが、このようにシンプルに全体が下がるというのはどこか不安になってくる。

こちらが危惧していた中国の碧桂園のクロスデフォルトで何かが起こるということはなかった。それは一安心であるのだが、債権者が数百億ドルの債券を放棄するなんてことはまずないだろう。既に集団で何らかの動きを水面下でしている可能性もある。

このように月曜日は全体的に下げているが、表だって何かが起きたわけではない。しかし、その株価下げの原因が米国の高金利の長期金利の維持であることは何度も紹介してきた。そして、今回の韓国経済の記事もそれである。株安・ウォン安・借金急増など、韓国に与える影響は大きい。

では、記事の冒頭を見ていこう。

金利の長期化、いわゆる「H4L(Higher for Longer)」の恐怖が韓国にも近づいてきた。年内の基準金利引き下げの見通しは姿を消し、預金・貸出金利が上昇し韓国経済に長く寒い冬を予告している。これまでH4Lは米連邦準備制度理事会(FRB)が公言してきた通貨政策基調程度と見なされた。だが持続的なインフレと米連邦政府の財政悪化、欧州に続く中東での戦争、国際原油価格上昇などが複合的に作用し市場は高金利長期化をニューノーマル(新たな標準)と受け止める様相だ。

よく分からないがどうして米国が金利を引き下げる見通しなんてあったのだ?こちらは毎月、米国の主要な経済指標を確認して分析しているが、年内に利下げする可能性なんて検討もしなかったぞ。むしろ、CPIが高止まりしていて、あと1回、利上げするんじゃないかとずっと疑ってきた。そもそも金利を凍結して、数ヶ月後に金利を下げるとかまずないという。韓国の政策金利を見ればわかるだろう。

韓銀は金利3.5%に上げた後、7ヶ月以上も据え置き。上げても、下げてもいないという。もちろん、FRBがどうするかはパウエル議長の決断次第てところが大きいが、少なくともハロウィン、クリスマス商戦、年末と消費需要が増加するイベントが目前に迫っているのに、CPIが下がるとは考えにくい。季節的なイベントは大きな商戦のチャンスでもある。特に欧米にとってクリスマス商戦はその年の売上の7割を稼ぐとかいわれている。つまり、クリスマス商戦で消費が落ち込むなんてことはまずない。逆に言えばクリスマス商戦で消費が落ち込んだら、それはもう最悪なシナリオかもしれない。

では、記事に要点を整理して見ていこう。

■記事の要点

1.世界的に長期金利の指標の役割をする米国債10年物金利が16年ぶりに取引時間中に5%を超えたのがそのシグナルだ。カトリック大学経済学科の梁俊晳(ヤン・ジュンソク)教授は「米10年物国債利回りが高いということは米国のインフレが思ったより長引き、従来の低い金利に戻るのは難しいだろうという意味」と話した。問題は韓国の長期物国債利回りが米国の長期物に同調する傾向が濃厚な点だ。韓国の家計の住宅担保貸付金利、企業の社債金利をいずれも押し上げ経済に負担を与える。

2.22日の金融圏によると、KB国民銀行、新韓銀行、ハナ銀行、ウリィ銀行の20日基準住宅担保貸付混合型(固定)金利(銀行債5年物基準)は年4.240~6.725%水準だ。1カ月ほど前と比較すると下段が0.340%上がり4%台になった。住宅担保貸付変動金利(新規取り扱い額COFIX連動)は年4.550~7.143%でやはり上段が0.280%、下段が0.044%上がった。下段の3%台金利は消え固定金利と信用貸付金利まで6%台後半から7%台を見据える傾向だ。

3.専業カード会社の8社の9月末基準短期カード貸付(キャッシングサービス)平均金利も17.51%で、前月比0.05%上昇した。特に貯蓄銀行と消費者金融は法定最高金利20%の上限線にかかり逆マージンの懸念が生じると貸付を減らしたり中断したりするケースも出ている。金融当局の圧迫にも市中金利の上昇がなかなか収まらない様相だ。家計負債が1800兆ウォン台に達する状況で増える負債負担は個人・企業の衝撃につながる。国内総生産(GDP)比の家計負債比率が4-6月期末基準で101.7%水準の上に変動金利貸付が多く限界借主の不健全化リスクも大きい。

4.裁判所統計月報によると、裁判所に破産申請した法人は9月までで1213件と集計された。この10年間で破産件数が最も多かったのは2021年の1069件だが、年末まで3カ月を目前にした時点ですでにこれを超えた。景気低迷に高金利状況まで続いてできた結果と分析される。裁判所に破産を申請した法人の大部分が自営業者や零細企業であるものと推定される。

金融圏が債券発行のほかに資金を調達する手段である預金金利もしばらく上がる見通しだ。特に昨年末のいわゆるレゴランド事態の際に高金利でかき集めた預金・積立金満期が大挙到来しており金利上昇圧力はさらに大きくなっている。当時増えた受信規模は100兆ウォン水準と推定される。

以上の4つだ。順番に見ていこう。

まず1だが、米国債10年利回りは4.969%と少し下がっているが、それでも十分、高いと言わざるを得ない。しかも、この金利が世界中の金利に大きく影響を与えることは何度も解説したが、韓国も例外ではない。

韓国の家計の住宅担保貸付金利、企業の社債金利をいずれも押し上げ経済に負担を与える。

貸付金利、社債金利の2つは毎日、ウォンニャス速報で確認しているが、非常に高くなっている。

これ、韓国経済の来年はどうなるんだという。2023年の上半期の危機は乗り越えたが、それ以上に金利が高いということは、今年より資金調達コストが跳ね上がるのだ。特に銀行の調達コストが上がっていることは何度も指摘した。今回も要点の4に出てきているが、これも例のレゴランド不渡りである。また、レゴランドなのかと思うかもしれないが、この影響は今後もずっと続くのだ。

少なくとも米国が高金利維持をしている数年以上は続く。下手したらエンドレスエイトもあり得ると指摘した。その分析は間違っていないだろう。なぜなら100兆ウォン以上だから。毎年、秋から年末にかけて100兆ウォンを銀行が調達するのがノルマだ。なら、毎回、高金利の競争にならざるを得ないだろうに。

次に2だが、以前に何度か重要だと指摘したコフィックス連動型金利が急上昇している。基準住宅担保貸付混合型(固定)金利(銀行債5年物基準)は年4.240~6.725%水準だ。1カ月ほど前と比較すると下段が0.340%上がり4%台になった。住宅担保貸付変動金利(新規取り扱い額COFIX連動)は年4.550~7.143%でやはり上段が0.280%、下段が0.044%上がった。

このようにどんどん下段も上げており、上限も7.1%まであがっている。この金利が上がれば上がるほど貸出金利が上昇するので利払いの負担が重くのしかかる。変動金利なら毎月、メールで知らせてくれるんじゃないか。家計債務が1800兆ウォン以上であるが、これがますます増えていくと。そして、3が新しい動きだ。もう一度読んでおこう。

特に貯蓄銀行と消費者金融は法定最高金利20%の上限線にかかり逆マージンの懸念が生じると貸付を減らしたり中断したりするケースも出ている。金融当局の圧迫にも市中金利の上昇がなかなか収まらない様相だ。

なんと貯蓄銀行や消費者金融が法定上限である金利20%ですら、逆マージンの懸念が生じるとか。おいおい、どれだけ資金調達コストが増大しているんだよ。

銀行がレゴランド不渡りの影響で満期預金に利息を付けて、預金者に返済するための資金集めに奔走すればするほど貯蓄銀行や消費者金融などの調達コストも増大すると。次に4も興味深い。

裁判所統計月報によると、裁判所に破産申請した法人は9月までで1213件と集計された。この10年間で破産件数が最も多かったのは2021年の1069件だが、年末まで3カ月を目前にした時点ですでにこれを超えた。景気低迷に高金利状況まで続いてできた結果と分析される。裁判所に破産を申請した法人の大部分が自営業者や零細企業であるものと推定される。

もう破産件数は10年で過去最高となったと。コロナ禍より、今の方が韓国自営業や零細企業は苦しんでいると。どれもこれもインフレ、金利上昇から破産が始まっている。大丈夫だ。このまま行けば来年は今年を上回ってくる。

それで、何度か韓国で銀行への預金が得だという話をした。実際、金利が5%付くのだから、しかも、預金は保護されるのでノーリスクである。以前、米国の地方銀行が破綻したときも、米国は預金保護を前面に押し出していた。

では、専門家はどう見ているのか。

金利上昇期に投資家は満期を最大限短く維持して流れを見守れというのが専門家の助言だ。1~2年の短期で運用する信用・伝貰資金貸付は変動金利より低い固定金利を、5年以上の長期で借りる住宅担保貸付は変動金利商品を推薦した。長期的には市場金利が下がって行くという判断からだ。

これは正しいだろう。つまり、1年満期辺りで利息が高い内に回せということだ。今の段階で5年後を考えるのは難しいが、恐らく米国の金利は下がっているだろう。実際、高い金利というのは経済を失速させるので長くは続かない。

では、最後は中国経済の話題だ。中国でどんどん資本集出が加速化している。

中国から逃げ出す投資資金

このところ、中国から海外に流出する資金は増加傾向で推移している。報道によると、国際金融協会(IIF)が公表したデータでは8月、世界の主要投資家は149億ドル(約2.2兆円)の中国株を売り越した。

2015年で最大の売却規模だという。中国企業などが発行した債券を売る投資家も増えた。

その要因として、不動産バブル崩壊は大きい。中国碧桂園(カントリーガーデン・グループ)、恒大集団(エバーグランデ・グループ)は外貨、人民元建ての両方で債務返済が困難だ。不動産市況の悪化によって土地の需要は減少し、地方政府の財政状態も悪化した。

債務返済を急ぐ企業や家計は増え、デフレと景気の長期停滞が深刻化する“日本化”の懸念も高まった。

流出しているのは、有価証券の投資資金だけでない。国家外為管理局(SAFE)によると、2023年4~6月期の直接投資(中国における海外企業の工場建設など)は49億ドル(約7,300億円)だった。前年同期比87%の減少だ。

1998年以降で最大の減少と報じられた。中国商務省が月次で発表する直接投資金額(年初からの累計)も減少傾向にある。

中国から逃避する一般企業は増えている。中国が台湾に対する圧力を強めるなど地政学リスクの上昇は大きい。半導体など先端分野での米中対立も先鋭化した。また、中国の生産年齢人口の減少によって労働コストが上昇することも一因だ。

7月施行の改正“反スパイ法”により、中国で海外の企業は安心、安全に事業を運営することは一段と難しくなったとの見方も多い。

今後も中国からの資金流出は増加する恐れ。今後も中国からの資本流出は増加しそうだ。

7月ごろから徐々にではあるが、中国経済に下げ止まりの兆しは出たものの、その勢いは非常に弱い。地方政府の財政悪化によって景気刺激策の発動は難しく、デフレ圧力の払しょくは難しい。それは、中秋節と国慶節(建国記念日)の大型連休中の国内旅行者数と観光関連の支出から確認できる。

政府は連休中の国内旅行者数を8億9,600万人、国内観光収入を7,825億元と予想した。しかし、実績は国内旅行者数が約8億2,600万人、観光収入は7,534億元(約15兆円)だった。いずれも政府予想を下回った。

また、9月の生産者物価指数は前年同月比2.5%下落、消費者物価指数は同0.0%だった。国民の消費意欲は高まりづらい。雇用、所得環境の悪化懸念の高まりによって債務の返済を優先し、貯蓄を増やそうとする心理はかなり強いようだ。

9月、銀行融資額も予想を下回った。不動産、地方政府の債務問題は深刻化し債務不履と不良債権残高の増加懸念も高まる中、共産党政権は企業などの目先の資金繰りを支えるために銀行の融資を増やさなければならない。

本来であれば、一党独裁体制のもと、習政権の指示に従って国有銀行などが融資を増やすことは可能なはずだ。そうなっていないということは、中国経済の状況は厳しい。

中国の景気が本格的に回復するには、時間がかかるだろう。景気が下げ止まり底打ちする兆候が見られたとしても、長く続くと考えづらい。中国からの資金流出が増加する恐れは高い。

このように不動産バフル崩壊した今こそ、中国政府が大規模な経済対策を打ち出すべきなのにそれができない。つまり、中国経済の状況は厳しい。だから上海総合指数も3000割れている。もう、この流れは政府が動かないと止まらないだろう。

韓国 米国発H4Lの恐怖、韓国も危機感…「貸付戦略新たに立てなければ」」への2件のフィードバック

  1. しばらく当サイトにアクセス出来なくなっていましたが今日(10/25)の夕方に繋がりました。何か不具合があったのでしょうか?

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