韓国経済、韓銀がついに利上げ…1500兆ウォンの家計負債が負担に
記事要約:昨日、気が付いたら寝ていて夜のニュースを出すのを忘れていたのだが、ついに韓銀が利上げをしたようだ。これで政策金利が1.5%~1.75%となった。この動きは想定内であるが、韓銀が家計や個人、企業の負債増加や経営難よりも、キャピタルフライトを恐れているということ。でも、理由は2つあるらしい。さて、どこから突っ込んでいこうか。
>景気悪化が懸念される中でも韓銀が利上げに踏み切ったのは、深刻化する金融不均衡を解消するためだ。昨年11月の利上げで超低金利(年1.25%)から抜け出したものの低金利基調が続いたことで不動産市場に資金が流れ、家計の負債は急増した。
低金利だと不動産市場に資金が流れたから家計負債が急増した。この時点でおそらく多くの読者様は「?」が付いていると思う。
まず、不動産バブルを意図的に起こしていたのは韓国政府。つまり、貸し出しする規制を緩和して借金する限度額を増やした。それが一連の総負債貸出比率(DTI)の緩和である。少し時系列を語って長くなるのだが、重要なことはこれが2018年に新DTIと変わったことだ。まず、新DTI(総負債貸出比率)というのが何なのかをもう一度、解説しておこう。説明を簡潔にするために、以前のDTIを旧DTI、新の方は新DTIを呼称する。
■新DTI(総負債貸出比率)
まず、DTIというのは資金を借り入れる人が年間所得比償還額を考慮して貸し出し限度を定める指標のこと。旧DTIでは新たに受ける住宅担保貸出は「元金」と「利子」を全て含めて計算していた。しかし、既に受けていた住宅担保貸出は元金ではなく利子だけを反映していた。これが新DTIでは既に受けている住宅担保貸出でも、元金も利子も含まれる。まず、これについて解説しよう。例えば、100万円、年率1%(1万円)の利子、限度額を1000万円だとする。
旧DTIの場合:既に受けていた住宅担保貸出なら、年率1%、つまり1万円のみの計算
新DTIの場合:既に受けていた住宅担保貸出でも、元金100万+年率1%(1万円)となる。
その結果、同じ不動産を同条件で2つ持っていて、追加で借り入れる人はこうなる
旧DTI:年率+3% 元金100万で計算(200万が反映されない)限度額は利子を含めた900万。
新DTI:300万円+年率3%で計算(200万も反映される)限度額は利子を含めた700万。
以上。つまり、貸し出し限度がたくさんの家を持っている人ほど制限されることになった。その結果、不動産と貸出に関連する規制で家計負債の急増は抑えられたわけだ。
日本人の感覚からすれば家を何件も持っているんだとおもうかもしれないが、韓国では不動産購入のほとんどは投機目的である。だから、借金する理由も不動産投機が7割といったところだ。当然、新DTIで住宅担保貸出に規制が設けられたので投機目的での不動産の複数ローンの申請が難しくなった。
これがいわゆる 8・2不動産対策といわれている。これによって追加で住宅担保ローンの申請時、ソウルなど投機地域はDTI 30%、申込調整対象地域では40%のDTIが適用されることになった。
>不動産と貸出に関連する規制で家計負債の急増は抑えたものの、その規模は依然として負担となる水準だ。韓銀によると、今年7-9月期基準の家計負債は1514兆ウォン(約152兆円)だった。
ええ?難しいて?管理人も解説しているが、不動産の話は難しいと思う。1番大事なのはこの新DTIである程度の投機目的での不動産取得を抑えられたので、家計負債の増加に歯止めがかかった。後、2019年にDSR(相対的償還能力比率)に与信審査が導入される。DSRまで解説していたら、さすがに混乱すると思うのでまた記事で出てきたときにする。
それで、大事なのは今までザルだった不動産投機に規制をかけて、家計負債の増加を減らすようにしたということ。これは、低金利で不動産投機がさらに増えた分、家計債務が増大したための規制であった。しかしだ。ところがだ。管理人が二重否定するということは何かしらの問題点が含まれる。
不動産投機が活性化によって韓国ではマンションの建設ラッシュが始まった。そして、この不動産投機を規制したことでどうなるか。当然、韓国の建設業は厳しくなるということだ。マンション建築の仕事が減れば、今度は建設業の解雇者が多くなる。さらなる失業者の増加。他にもマンションに取り付ける内部の装飾、エアコンなどの空調設備の売上も減るので、わりとこれは自営業の破綻と並んで影響が大きい。
マンションは増えない→テナントも借りる人も減る→建設業の不況→不動産価格の下落といったことになる。そもそも金利を引き上げれば借金している人の利子は増加するのだから、これだって家計負債の増加へと繋がる。どちらに転んでも借金が増える素晴らしい制度であると。さて、国内の問題はこれぐらいで次はキャピタルフライトの話を見ていこう。
>米国のさらなる利上げの可能性も韓銀の選択に影響を及ぼした。18、19日(現地時間)に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の引き上げが予想される。この場合、米国の政策金利は年2.25-2.5%となる。政策金利の差が1.0%以上に広がれば資金の流出を刺激するという懸念が強かったため、韓銀としては今回の利上げで一息つくことになった。
韓国:1.5%→1.75%
米国:2.25%→2.5%(引き上げ予定)
差は0.75%なのでキャピタルフライトは起きない!ということらしい。
まあ、妥当だな。逆に考えれば1%以上の差だとキャピタルフライトが発生すると考えてもいいわけだ。しかし、米国の金利がこのままどこまで上がるかは難しいんだよな。管理人は来年で3%までだと思っているが、じっくり、今後の動向に注視したいところだ。
ということで現在の時刻は4時だ。土曜日なのでのんびりしているが、投稿時間はいつも通りの7時なので、公開されたらじっくり読んで頂きたい。
今日から12月、つまり、2018年も残り1ヶ月となった。10月辺りから怒濤の韓国経済だった気がするが、まだ1ヶ月もあれば何か出てくる可能性は十分ある。管理人としては長年、懸念だったスパムから解放されて、メールアドレスなしで読者様がコメント欄を自由に使えるようにできて、たくさんのコメントが貰えるようになったのは嬉しい限りだ。
全てのコメントに返信は出来ないが、読ませては頂いている。管理人とは異なる視点で語ってくれることも多いので、中々、勉強させてもらっている。
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〔北朝鮮、韓国、朝鮮半島有事〕のまとめ
韓国経済、韓銀がついに利上げ…1500兆ウォンの家計負債が負担に
政策金利が年1.75%に上がった。韓国銀行(韓銀)金融通貨委員会は30日、ソウル中区(チュング)の韓銀本館で全体会議を開き、政策金利を年1.5%から1.75%へと0.25%引き上げた。昨年11月30日に6年5カ月ぶりに政策金利を引き上げて以来1年ぶりだ。
景気悪化が懸念される中でも韓銀が利上げに踏み切ったのは、深刻化する金融不均衡を解消するためだ。昨年11月の利上げで超低金利(年1.25%)から抜け出したものの低金利基調が続いたことで不動産市場に資金が流れ、家計の負債は急増した。
不動産と貸出に関連する規制で家計負債の急増は抑えたものの、その規模は依然として負担となる水準だ。韓銀によると、今年7-9月期基準の家計負債は1514兆ウォン(約152兆円)だった。
家計の所得より速いペースで増える負債も金融不安を強めている。7-9月期基準で家計の負債が1年前に比べて6.7%増加した半面、統計庁が集計した1世帯あたりの月平均所得増加率は4.6%だった。
LG経済研究院のチョ・ヨンム首席研究委員は「金融の不均衡を解消して市中にあふれる流動性を吸収するためには政策金利の引き上げが必要だと判断したようだ」と話した。
米国のさらなる利上げの可能性も韓銀の選択に影響を及ぼした。18、19日(現地時間)に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の引き上げが予想される。この場合、米国の政策金利は年2.25-2.5%となる。政策金利の差が1.0%以上に広がれば資金の流出を刺激するという懸念が強かったため、韓銀としては今回の利上げで一息つくことになった。
しかし今後の景気見通しから追加の利上げは当分難しいと、市場は予想している。大信証券のコン・ドンラク研究員は「米国の利上げペースに影響を受けるだろうが、来年は利上げが難しくなるはず」と述べた。