日の丸半導体 「半導体は『経済安全保障』…日本全域に生産基盤を作る」ーサムスン・SKは当面赤字!【動画】

日の丸半導体 2023年、低価格帯のメモリーが中心である韓国の半導体輸出は地に落ちている。昨年、安藤対特需から一変したわけだが、これは韓国企業が売れるからと造りすぎて、なぜか、それを止めずに在庫を山積みしたことにある。

しかも、その在庫はバナナのたたき売り状態。本来は付加価値の高い製品だったメモリーは売れば売るほど赤字。しかし、在庫が山積みとなれば新しい生産をすることは難しい。韓国製が市場に大量に出回って自ら、価格崩壊を招いたという見方をこちらはしているわけだが、それよりも、2021年辺りから半導体の価値というものが世界中で見直された。

それはただの輸出品なく「経済安全保障」という半導体の安定供給がかかせないものとなったためだ。そして、日本はおそらく、「日の丸半導体」を復活させるラストチャンスとして、日本政府が率先して、日本の企業が動いた。

熊本県に台湾のTSMCを誘致したことで、熊本県は一躍、半導体の中心地として知名度があがってきた。今、半導体の素材や部品など関連が、熊本や、その近くの県に集まってきている。政府の後押しもあるが、それよりも多くの企業は世界一の半導体素材や部品を製造できる技術がありながら、アメリカによって制限された苦い過去を払拭して、日本の半導体にもう一度かけてみようという思いのほうが強いのだ。

ラピダスの設立はそんな多くの関連企業にとって希望の星であり、世界初の2ナノ量産という誰も成し遂げてない前人未踏の挑戦が、多くの日本人に夢や希望を与えてくれる。

今回は荻野洋平さん。経済産業省デバイス・半導体戦略室長のインタビューがハンギョレ新聞に掲載されていたので取り上げていく。最初の冒頭からして、「日本の半導体産業にとって、今が『最大かつ最後のチャンス』だと考えている」と述べている。

そう、半導体の重要性が再認識された今だからこそ、日本政府や多くの日本人がバックアップしてくれる。その期待に応えてこそ、世界一の技術大国である日本の技術者の役目だろう。

では、彼のインタビューの要点を整理していく。最後に最新の半導体状況も触れておく。

■記事の要点

1.「2020年頃から、エネルギーや食糧など全世界的に経済安全保障に対する議論が活発になり始めた。半導体についても、日本に十分に供給されなければならないという『経済安全保障』の観点から、非常に重く扱われた。今回の戦略は、単に日本の半導体企業の競争力を強化するレベルのものではない。日本で半導体が供給(生産)可能になるよう、どのような方法で協力するのか、どのような環境を作りだすのかが最も重要だと考えている」

2.「半導体のサプライチェーンの構築は、日本単独ではできない。どの国も同じだが、いかに他国と協力するかが非常に重要になるだろう。互いに強さと弱みがあるだけに、補完していくことが必要だ。まだ具体的な計画があるわけではないが、韓国との協力も十分に可能だ。価値観を共有する同盟国や友好国が一緒にやっていくしかない。サプライチェーンを結びつけるためには、情報共有や人材育成だけでなく、日本と韓国が可能な具体的なプロジェクトがあれば、十分に協力対象になりうる」

3.「米中が分断されることが危機なのは事実だ。他方で、このチャンスを通じてサプライチェーンを強化しなければならないという課題ができた。それが日本では、自国内で半導体を生産できる環境を作るようにする方向に作動している。危機でありチャンスであるこの状況にうまく対処していかなければならない」

4. 「12~28ナノは今の日本で最も必要な半導体だ。日本にはスマートフォンや高性能コンピューティング(HPC)関連の大企業がない。カメラ(ソニー)や自動車(トヨタ)などに必要な半導体だ。日本では40ナノが自国内で生産される最先端の半導体だったが、TSMCの誘致によって12ナノまで供給可能になった」

5.「ラピダスが競争力を持つには、果敢な投資と優秀な人材、販売先の確保が必要だ。容易ではないと思うが、政府はこれまでとは違うレベルのアプローチをしようとしている。いわゆる“挑戦”がある所に大胆に支援をしつつ、ムードを変えていくつもりだ。1980年代と比較すると半導体産業が弱くなったことは事実だが、40年以上の歴史を通して、知識と技術が蓄積されているのは強みだ。半導体の素材・装置・部品などで世界的に上位の企業が支えているというのも大きな力だ。人材確保は半導体の現場に残っている50~60代を最大限活用し、新たな人材を育てていこうとしている」

6.現在、韓国経済はかなり厳しい状況に直面している。特に負の影響を与えているのは、サムスン電子とSKハイニックスが事業運営体制を強化してきたメモリ半導体の市況悪化が止まらないことだ。コロナ禍の発生による一時的なスマホやパソコン需要の急増の反動減によって、短期的にメモリ半導体の価格下落は続きそうだ。

以上の6つだ。

このインタビューで頷けないのはハンギョレ新聞だから、韓国との協力は必要ないとは言えなかったと思うが、実際、韓国が半導体を中国にこの先も売るつもりなら、半導体輸出規制、いわゆる「チップ4同盟」に参加することはできない。協力する以前の問題だ。しかも、日本では対中半導体輸出規制という言葉で表現されているが、実は海外メディアは表現が異なるのだ。

一体、どういうことなのか。その言葉は「チップウォー」や「テックウォー」という見出しが使われている。つまり、これは新冷戦の最初に始まっている「半導体戦争」なのだ。韓国企業がこの意味を何処まで理解しているかは知らないが、戦争なのに敵国に最新鋭の半導体を供給するなんてあり得ない。中国が台頭すれば、アメリカと対立することなんて昔から言われてきたことだ。

民主主義と共産主義の対立は嘗てのソビエト連邦がそうだったように、時代の変換点で必ず起きるのだ。戦争に勝つには相手の技術研究を遅らせるのが最も有効だ。これはシヴィライゼーションなどといったゲームをプレイすればすぐにわかることだ。「銃」と「剣」では勝負にならないのだ。

技術の優位性は大事なのは何も戦争だけではない。半導体技術の向上によって我々は生活はより便利になった。利便性というのは様々な「効率」を上げていくのだ。今は20年前になかったスマホで、本当、色々なことが出来る時代だ。

では、1から見ていこうか。

1についてはその通りだ。経済産業省という立場からの視点ではあるが。ここでしっかり日本企業の雇用にも結びつくようになれば嬉しい限りだ。次に2だが韓国は必要ないです。なぜなら、台湾がいるからな。台湾のTSMCがあれば、韓国のサムスン電子もSKハイニックスもいらない。そもそも、日本は韓国製の半導体はほとんど輸入していない。

次の3もその通りだと。危機でもあるが、チャンスでもある。実際、どうなるかはわからないが、この先、半導体を使わない次世代技術でも出てこない限りはあり得ないな。でも、この先、スマホにかわるものなんてちょっと想像できないよな。頭の中にPC埋め込めるような未来技術が出来れば違うかもしれないが。それこそSFだよな。攻殻機動隊の世界はそう簡単にはやってこない。脳を電脳化する技術はないものな。

次に4だが、日本は40ナノまでしか無理だったのか。今の中国と大して変わらないじゃないか。それが、台湾のTSMC誘致で一気に8ナノかよ。凄いな。これだけで招致した恩恵というものがよくわかるな。

次に5はラピダスについてだ。そうだよな。今の若い技術者は半導体には関わってないものな。今は引退した技術者の技術をもってそうだものな。人材育成は今後の重要な課題だ。ラピダスについては多くの日本人が期待を寄せている。最近、工場を北海道に建設することを検討しているとか。

さて、最後は日本の半導体が目指す未来とは何か。引用しておく。

―半導体戦略を通じて日本政府が最終的に追求する目標はなにか。

 「最も重要な目標は、日本全域に半導体を生産できる基盤を作ることだ。それを通じて、半導体産業も自然に大きくなるとみている。現在の日本の半導体の売上は4兆円だが、10年後には2倍以上に拡大するなどの成果が出ることを期待している。日本の半導体産業にとって、今が『最大かつ最後のチャンス』だ。半導体技術は、『ムーアの法則』(半導体の集積回路の性能が2年で2倍に向上すること)のままに進むのではなく、他の方法を模索しなければならない構造的な転換期に突入したと考えている。ロジック分野の後発走者である日本にとって大きなチャンスだ。最後といったのは人材の問題だ。日本が半導体強者だった40年ほど前に半導体産業に従事した優秀な専門家たちが引退を控えている。これらの人々を今活用しなければ、蓄積された歴史が消えてしまう」

あれだよな。運命の巡り合わせだろうか。40年前の半導体王国をつくりあげた技術者は引退間近。でも、その前にその技術を次の世代へと受け継がせる。まさにラストチャンスだ。この試みが成功すれば、日本の半導体技術はこの先も継承されていくことになる。時間あまり残されてない。だからこそ、日本企業が一丸となって復活させてほしい。

南極の海を超えるため、日本企業を総力を挙げてつくりあげた南極観測船「宗谷」のように。あの時、前人未踏の南極への足掛かり。次世代半導体2ナノ量産だってまさに前人未踏だ。日本政府と日本企業が本気で挑戦すれば、どんな障害だって乗り越える力があると信じている。

思わず熱く語ってしまったが、それだけこのラピダスや半導体王国復活には期待してるのだ。

 日本の半導体産業の政策を担当している経済産業省のデバイス・半導体戦略室長である荻野洋平氏は3日、東京都千代田区にある経産省の事務室で本紙の取材に応じ、現在の日本が直面している現実を率直に説明した。荻野氏は「半導体技術は構造的な転換期を迎えており、日本にとって大きなチャンス」だとしながらも「日本が強者だった30~40年前の優秀な人材が引退を控えているため、最後のチャンスでもある」と述べた。さらに、「今回推進されている日本の半導体戦略は、単に企業競争力を強化するレベルのものではなく、『経済安全保障』の観点で半導体が日本で生産されるようにするものだ。そのためにどのような環境を作っていくのかが最も重要だ」と強調した。

―経産省は、2021年6月に「半導体・デジタル産業戦略」を発表した後、半導体産業の復活のために積極的に動いている。

 「2020年頃から、エネルギーや食糧など全世界的に経済安全保障に対する議論が活発になり始めた。半導体についても、日本に十分に供給されなければならないという『経済安全保障』の観点から、非常に重く扱われた。今回の戦略は、単に日本の半導体企業の競争力を強化するレベルのものではない。日本で半導体が供給(生産)可能になるよう、どのような方法で協力するのか、どのような環境を作りだすのかが最も重要だと考えている」

―日本は米国(IBM)・台湾(TSMC)・欧州(IMEC)など、半導体強国と協力を強化している。

 「半導体のサプライチェーンの構築は、日本単独ではできない。どの国も同じだが、いかに他国と協力するかが非常に重要になるだろう。互いに強さと弱みがあるだけに、補完していくことが必要だ。まだ具体的な計画があるわけではないが、韓国との協力も十分に可能だ。価値観を共有する同盟国や友好国が一緒にやっていくしかない。サプライチェーンを結びつけるためには、情報共有や人材育成だけでなく、日本と韓国が可能な具体的なプロジェクトがあれば、十分に協力対象になりうる」

―半導体をめぐる米中対立は、両国に対する依存度が高い韓国と日本にとって大きな課題だ。

 「米中が分断されることが危機なのは事実だ。他方で、このチャンスを通じてサプライチェーンを強化しなければならないという課題ができた。それが日本では、自国内で半導体を生産できる環境を作るようにする方向に作動している。危機でありチャンスであるこの状況にうまく対処していかなければならない」

―熊本県に建設されている台湾のTSMC工場では、2024年12月から12~28ナノのロジック半導体が生産される。TSMCの技術力に比べると性能が低い。

 「12~28ナノは今の日本で最も必要な半導体だ。日本にはスマートフォンや高性能コンピューティング(HPC)関連の大企業がない。カメラ(ソニー)や自動車(トヨタ)などに必要な半導体だ。日本では40ナノが自国内で生産される最先端の半導体だったが、TSMCの誘致によって12ナノまで供給可能になった」

―日本の大企業8社が共同で設立した「ラピダス」が、最先端(2ナノ)の半導体市場に挑戦状を出した。ファウンドリ(半導体委託生産)分野は、TSMCやサムスン電子に続き、最近はインテルも加わり、競争が激しい。

 「ラピダスが競争力を持つには、果敢な投資と優秀な人材、販売先の確保が必要だ。容易ではないと思うが、政府はこれまでとは違うレベルのアプローチをしようとしている。いわゆる“挑戦”がある所に大胆に支援をしつつ、ムードを変えていくつもりだ。1980年代と比較すると半導体産業が弱くなったことは事実だが、40年以上の歴史を通して、知識と技術が蓄積されているのは強みだ。半導体の素材・装置・部品などで世界的に上位の企業が支えているというのも大きな力だ。人材確保は半導体の現場に残っている50~60代を最大限活用し、新たな人材を育てていこうとしている」

―半導体戦略を通じて日本政府が最終的に追求する目標はなにか。

 「最も重要な目標は、日本全域に半導体を生産できる基盤を作ることだ。それを通じて、半導体産業も自然に大きくなるとみている。現在の日本の半導体の売上は4兆円だが、10年後には2倍以上に拡大するなどの成果が出ることを期待している。日本の半導体産業にとって、今が『最大かつ最後のチャンス』だ。半導体技術は、『ムーアの法則』(半導体の集積回路の性能が2年で2倍に向上すること)のままに進むのではなく、他の方法を模索しなければならない構造的な転換期に突入したと考えている。ロジック分野の後発走者である日本にとって大きなチャンスだ。最後といったのは人材の問題だ。日本が半導体強者だった40年ほど前に半導体産業に従事した優秀な専門家たちが引退を控えている。これらの人々を今活用しなければ、蓄積された歴史が消えてしまう」

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