サムスン破綻序曲 「サムスンからTSMCに半導体注文の相当量が流出…挽回困難」トレンドフォース(動画)

ここ3日、世界経済の動向がめまぐるしく変わり、気がついたら明日は金曜日、週末という事態。ただ、経済のダイナミックの動きをほぼ網羅することはできたと思うので、わりと興味深い内容が多かったんじゃないだろうか。それで。今回はいくつか紹介出来なかった動きについて捕捉した後、サムスン電子にいよいよ破綻の兆候が出てきたのでそれを紹介しよう。

この流れは数年前から予想されていたことであるのだが、もう、必死に追い上げるのも無理なほど引き離された。それはサムスン電子がどんどん乗客を失うてことだが、それは後で見ていく。

まず、最初に昨日発表された米統計についておさらいしよう。2月米小売売上高、同月米卸売物価指数(PPI)、3月米ニューヨーク連銀製造業景気指数の3つだ。

それでは記事の要点を整理していく。

■記事の要点

1.ジェトロによると、2月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.4%減の6,979億ドルと、2カ月ぶりの減少に転じ、ブルームバーグがまとめた市場予想と一致した。2月の消費者信頼感指数は102.9。15日にこれら指標が発表されて以降は、引き上げなしの予想がさらに高まる結果となっている。

2.米労働省が15日発表した2月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.1%下落し、ロイターがまとめた市場予想の0.3%上昇に反して下がった。1月分の上昇率も0.3%と、当初発表の0.7%から下方改定され、インフレ抑制を目指している中でいくらかの希望の兆しを示した。2月の前年同月比は4.6%上昇。市場予想は前年同月比5.4%上昇だった。

3.3月のニューヨーク連銀製造業景況指数はマイナス24.6となった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値はマイナス7.9だった。前月はマイナス5.8。

4.昨年第4四半期(10~12月)のファウンドリ市場で1位のTSMCと2位のサムスン電子のシェア差は昨年第2四半期(4~6月)の37%ポイント(P)から第3四半期(7~9月)は40.6%Pに拡大し、そして第4四半期には42.7%Pにまで拡大した。

5.トレンドフォースは、「サムスンの顧客であるクアルコムとNVIDIAがフラッグシップハードウェア製品に使用されるチップの注文をTSMCに再配分することを決定したため、7ナノ以下のノードに対する相当量の需要を失った」とし、「現在、サムスンは、注文再割り当てによる生産能力の低迷を効果的に解決できる新規主要取引先はない」と伝えている。

6.続けて「TSMCは6/7ナノノードの収益減少は、4/5ナノプロセスの収益増加により、ほとんど相殺した」とし、「TSMCの全体収益で7ナノ以下ノードのシェアは54%で安定的に維持された」と明らかにした。

7.メモリ半導体で世界最大のシェアを誇るサムスン電子は、ファウンドリ市場でも世界1位を目標に掲げるも、その差は広がる一方となっている。その要因として、自らもロジック半導体を開発・生産するサムスンに対し、顧客各社が技術流出を懸念し生産委託をしたがらないというものがある。TSMCは受託生産のみを手掛けるため、その恐れがない。TSMCの幹部をして「ビジネスモデルがわが社の最大の武器」と言わせる所以だ。そのような顧客の懸念を解消するため、サムスンがファンドリ部門を分社化するという見方も以前から出ている。

以上の7つだ。順番に見ていこう。最初は解説出来なかった3つの米統計だ。そして、4からは半導体の最新の話題となる。

それで1についてだが、2月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.4%減の6,979億ドルと、2カ月ぶりの減少に転じたと。月の消費者信頼感指数は102.9。これらの指数は細かいとおもうが結論を言えば、利上げの凍結に傾く内容だったと。だから、利上げが怖い韓国経済にとっては好材料だ。だが、専門家の意見を見るとそうでもない。

今回の発表を受けて、全米小売業協会(NRF)のマシュー・シェイ会長兼最高経営責任者(CEO)は「銀行・金融市場の最近の不安定な状況は経済の不確実性を高めているものの、雇用と賃金は上昇し、インフレ率が低下傾向にあることから、消費経済のファンダメンタルズは依然として強固なものとなっている」と述べた。また、NRFのチーフエコノミスト、ジャック・クラインヘンズ氏は「売上高は前年を上回っており、これは労働市場が堅調で、収入と支出が増えていることが大きな要因」とした。ただし、同氏は「(新型コロナウイルスの)パンデミック後の不規則な消費行動を考慮し、政府が月次データに適用している季節調整値により、消費者の堅調さを正確に測定することが難しくなっている」とも指摘した。

https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/03/1bdef0f2c68b0716.html

つまり、正確に測定するのが難しいと。これだけで判断はできないと。インフレ率が鈍化傾向にあるといっても、まだ6%だからな。安心できるような数値ではない。

次の2は2月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.1%下落し、ロイターがまとめた市場予想の0.3%上昇に反して下がったと。これもインフレ抑えている傾向となるので、利上げから遠のいたことになる。ここまでは良かったのだ。問題は次だ。

3月のニューヨーク連銀製造業景況指数はマイナス24.6となった。これをどう見るかだ。まず、指数についておさらいしておこうか。

米国のニューヨーク州の製造業における景況感を示す経済指標で、「エンパイア・ステイト景況指数」とも呼ばれています。全米12の地区連銀のひとつであるニューヨーク連銀が毎月中旬に公表しています。ニューヨーク連銀が管轄する地区にある製造業約200社を対象に、現況と半年後の景況感についてアンケート調査を実施して指数化したものです。分岐点はゼロで、プラスが好況、マイナスが不況と判断されます。フィラデルフィア連銀製造業景況指数、ISM製造業景気指数の先行指標としても注目されています。

https://www.smbcnikko.co.jp/terms/eng/n/E0136.html

さて、指数というのは0が分岐点になる。これよりプラスなら好況。マイナスなら不況。それがエコノミスト予想の中央値はマイナス7.9から、なんと24.6と大幅に下がった。つまり、かなりの景気悪化が確認されたことになる。もちろん、景気悪化が確認されたので利上げ凍結の材料にもなるが、問題はこのままだとソフトランディングどころか、景気後退懸念が強まっていくことだ。ここでロイターを引用しておこう。

インフレ鈍化の兆候を受けて、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測が後退し米国債相場は上昇。米10年債利回りは3.47%まで低下した。2年債利回りは3.875%まで低下。ドル売りも強まり、ドル・円は133円50銭から132円59銭まで下落。ユーロ・ドルはユーロ売りとドル売りが交錯し1.0570ドルで下げ止まった。ポンド・ドルは1.2042ドルまで下落後、1.2113ドルへ反発。

https://jp.reuters.com/article/idJP00093400_20230315_04420230315

米国債の利回りが低下したと。そして、円は買われていくと。このように3つの指標はどれもインフレ鈍化の兆候を示すものだった。だが、それだけではなく、米国の景気悪化の兆しでもあり、なかなか、素直に喜べない事態となっている。だから、次回のFOMCでの利上げが0.25%なのか。凍結なのかの判断は難しい。

まあ、ここまで米統計の話だ。では、ここからは半導体の最新動向をみていく。

4については台湾のTSMCとサムスン電子のファウンドリ市場でのシェアの差は拡大したと。第4四半期には42.7%Pまで拡大。確実に日数が経過するにつれて引き離されていくのか数値からでも確認出来る。次に5だが、サムスン電子の上顧客であるクアルコムとNVIDIAがフラッグシップハードウェア製品に使用されるチップの注文をTSMCに再配分することを決定した。これで、7ナノ以下のノードに対する相当量の需要を失ったという。

これは遅らく歩留まり率の問題なんだろうな。最先端の半導体ではサムスン電子では歩留まり率が悪すぎて使い物にならない。だから、超大手企業はサムスン電子に任せなくなったと。韓国さん。最先端半導体を売る場所がなくなりつつありますが?

そして、6の内容がわりと衝撃的だよな。もう一度、出そうか。

続けて「TSMCは6/7ナノノードの収益減少は、4/5ナノプロセスの収益増加により、ほとんど相殺した」とし、「TSMCの全体収益で7ナノ以下ノードのシェアは54%で安定的に維持された」と明らかにした。

サムスン電子の半導体輸出が死んでいる状況で、TSMCは5ナノ以下の収益増加で、7ナノノードの収益減少をほとんど相殺したと。サムスン電子が崩壊の序曲というのは意味がわかってもらえただろうか。台湾のTSMCがいるかぎり、サムスン電子はもう落ちていくしかないてことだ。

そして、7はサムスン電子のファウンドリシェア拡大のネックは、技術情報を盗まれる恐れがあるからと。確かにそうだよな。サムスン電子なら平気でパクるだろうからな。でも、台湾のTSMCは生産委託しかしないのでそれがないと。まあ、納得ではあるな。サムスン電子に技術をパクられて世界中で訴訟が起こされてる悪評判がまわりに回ってきたと。

では、後はネットの突っ込みでも見ておこうか。

1.要はサムスンは信用出来ないと言う事だね。てか、信用を失うって企業としては一時的な利益の減少よりも痛いぞ。

2.アメリカは半導体台湾一極化を目指してると言われだしてるよね。

3.そもそもこれまでのサムスンの成長って、日米のドル箱産業だけを狙い撃ちに最初は安い受託生産で技術パクって、次は真似した製品をウォン安利用して世界シェア奪ってきただけやしな。家電や半導体は日本から、アメリカはスマホ技術。それがいい加減、警戒されて通用しなくなってきただけ。中国の台頭もあるけどさ。

4.TSMCは少し前にも自社製品出さない宣言してたものな。技術窃盗の懸念を持たれてるサムスンを牽制していた訳だ。

5.サムスン電子は2026年までに300兆ウォン投資してシステム半導体でもトップとるんじゃなかったっけ?

6.TSMCが米国に工場を建ててるのは主にF-35などの兵器製造で使う分を賄うためだと囁かれている。台湾を救援するにも半導体は必要なので日本に建ててるのもお空に似たり寄ったりな理由。

7.なお、三星電子株の4割を持ってる米国勢は半導体製造部門を分社化して米国に移転させる計画を立てている。

以上の7つだ。そりゃサムスン電子が自社製品を開発しているのだから信用できないよな。3については半導体が経済安全保障と認識されたことから状況が一変したてところだ。そして5だ。これ面白いんだよな.まずサムスン電子に300兆なんていう投資マネーをどこから出せるのか。日本円で30兆円以上だぞ。しかも、残り3年で出す。1年で10兆円だぞ。出せるわけなかろう。大風呂敷も大概にしろと。

しかも、仮に出せても、サムスン電子がシェアを取るには自社製品の開発をやめなければいけなくなる。半導体を分業化してアメリカの企業になれば生き残れそうだが、それは韓国ではないしな。

このようにサムスン電子が半導体部門を切り離すアイデアはわりと現実味を帯びている。もっとも、サムスン電子に中国が切れるかどうか。難しいだろうな。

台湾TSMCと韓国サムスンの半導体委託製造(ファウンドリ)市場シェアがまた広がった。

昨年第4四半期(10~12月)のファウンドリ市場で1位のTSMCと2位のサムスン電子のシェア差は昨年第2四半期(4~6月)の37%ポイント(P)から第3四半期(7~9月)は40.6%Pに拡大し、そして第4四半期には42.7%Pにまで拡大した。

14日、市場調査会社トレンドフォースによると、昨年第4四半期のサムスン電子のファウンドリ売上高は前四半期より3.5%減となる53億9千100万ドル(約7260億円)だった。サムスン電子の第4四半期のシェアは15.8%で、第3四半期(15.5%)より0.3%ポイント(P)増加した。

一方、TSMCの昨年第4四半期の売上高は前年より0.1%微減となる199億6千200万ドルだったが、市場シェアは昨年第3四半期の56.1%から第4四半期には58.5%で2.4%P増加した。TSMCが売上減少にもかかわらずシェアが増加したのは、競合ファウンドリーメーカーの顧客が在庫調整に入り生産量を減らしたためだ。これにより、TSMCがシェアを確保することができた。

その結果、TSMCとサムスン電子の昨年第3四半期の40.6%Pのシェアから第4四半期には42.7%に拡大した。

トレンドフォースは、「サムスンの顧客であるクアルコムとNVIDIAがフラッグシップハードウェア製品に使用されるチップの注文をTSMCに再配分することを決定したため、7ナノ以下のノードに対する相当量の需要を失った」とし、「現在、サムスンは、注文再割り当てによる生産能力の低迷を効果的に解決できる新規主要取引先はない」と伝えている。

続けて「TSMCは6/7ナノノードの収益減少は、4/5ナノプロセスの収益増加により、ほとんど相殺した」とし、「TSMCの全体収益で7ナノ以下ノードのシェアは54%で安定的に維持された」と明らかにした。

3位のUMCは、昨年第4四半期の稼働率とウェーハ出荷量がともに減少し、売上が前四半期より12.7%減の21億6千500万ドルを記録し、シェアは6.3%だった。

その他、4位はグローバルファウンドリ(6.2%)、5位SMIC(4.7%)、6位華虹グループ(2.6%)、7位PSMC(1.2%)、8位タワー半導体(1.2%)、9位VIS(0.9%)、10位DBハイテク(0.9%)の順だった。

一方、昨年第4四半期のグローバルトップ10ファウンドリーメーカーの売上高は前四半期比4.7%減の335億3千万ドルを記録した。これは13四半期連続で成長した後、昨年第4四半期に初めて減少した売上高となった。特に、8インチファウンドリーファブの稼働率の下落幅が大きかったと分析される。

トレンドフォースは「今年の第1四半期に移り、季節性と不確実なマクロ経済状況により、上位10社のファウンドリーメーカーの売上がさらに急落すると予想する」と述べた。

メモリ半導体で世界最大のシェアを誇るサムスン電子は、ファウンドリ市場でも世界1位を目標に掲げるも、その差は広がる一方となっている。その要因として、自らもロジック半導体を開発・生産するサムスンに対し、顧客各社が技術流出を懸念し生産委託をしたがらないというものがある。TSMCは受託生産のみを手掛けるため、その恐れがない。TSMCの幹部をして「ビジネスモデルがわが社の最大の武器」と言わせる所以だ。そのような顧客の懸念を解消するため、サムスンがファンドリ部門を分社化するという見方も以前から出ている。

サムスン破綻序曲 「サムスンからTSMCに半導体注文の相当量が流出…挽回困難」トレンドフォース(動画)」への1件のフィードバック

  1. ロシアや中国がいくら威張ってても、彼らに付くのは有っても無くてもドーデモイイ後進国の貧乏国であり、ロシア等には資源があっても先端技術がない。先端技術の半導体で締め上げれば良いので、別に脅威には成らない。日本も中国、ロシアには製造機械や素材を全面停止で良い。どうせ此れからも自前では作れない。将来的には世界は半導体で大きく遅れを取る後進国グループと半導体等先端技術の欧米、日本、台湾及びその友好国のグループに分かれると思う。ウクライナ戦争はその契機になると思う。

コメントは停止中です。