韓国物流危機 今、日本や韓国から離れたアラビア半島と地中海の間にある「紅海」で、とんでもない事が起きている。それは「紅海物流危機」というものだ。今回の話は韓国という小さな国の規模ではない。全世界に大きな悪影響を与えるものだ。まずはそもそも「紅海物流危機」とは何なのか。最初から説明しよう。
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それは、イエメンの親イラン紅海を通行する民間の船舶が紅海を通行する民間の船舶に相次いで攻撃しているのだ。まずは12月25日のNHKニュースを引用しておく、
イエメンの反政府勢力フーシ派が紅海を航行する船舶への攻撃を繰り返していることを受けて、日本の海運各社でも安全上の懸念があるとして、イスラエルに関係する船舶の紅海の航行を取りやめる動きが広がっています。
このうち、日本郵船と商船三井は、ヨーロッパとの間を結ぶ海上輸送のルートについて、イスラエルに関係する船舶は攻撃の対象とされる可能性があるため、紅海の航行を一時的に取りやめてアフリカの喜望峰を経由するルートに変更しました。
フーシ派の船舶攻撃受け 日本の海運各社 紅海の航行やめる動き | NHK | イスラエル・パレスチナ
また、川崎汽船もイスラエルに関係する船舶は紅海の航行を一時的に回避し、アフリカの喜望峰を経由したり、北アメリカなどほかのルートへの輸送に振り分けたりする対応を取っています。
また、海運3社が共同出資し、コンテナ船事業を担う「オーシャン ネットワーク エクスプレス」も紅海の航行を取りやめ、アフリカの喜望峰を経由するルートなどに切り替えたということです。
紅海はスエズ運河につながり、アジアとヨーロッパを最短距離で結ぶ航路に位置していて、イエメンの反政府勢力フーシ派の攻撃による影響を受けたルートの変更で、海上輸送の遅れや輸送コストの上昇などが懸念されています。
このようにイランの武装組織が大暴れしているので、日本の船舶もアフリカの喜望峰を経由するルートに変更したと。では、皆様、地図のお勉強の時間だ。紅海には国際貿易にとって超重要な「スエズ運河」がありましたね。こんなところで大航海時代を遊んでいた知識が役立つとか、世の中、何がどこで役立つかわからないものだ。
スエズ運河の場所はわかるだろうか。この地図を拡大するとこうなる。
紅海と地中海の間には「スエズ運河」というものがあって、ここを行き来することでアジアへと荷物を届ける距離が大幅に短縮されているわけだ。ところが、イランの武装組織が紅海で民間船舶を攻撃しているので、危なくてこのルートが使えない。では、喜望峰ルートで荷物を運ぶことになる。では、喜望峰ってどこですか。大航海時代、ここに到達することがどれだけ重要だったか。
こんなに丁寧に解説しなくてもわかってるとはおもうが、スエズ運河を通れず、喜望峰ルートで迂回して荷物を運べばとんでもない長距離ルートになるのだ。
このようにルートを描けば、これがどれだけ遠回りかよくわかるだろう。つまり、長距離ルートによって海運コストが一気に上昇した。それでコストがどれだけ上昇しているのか。それが今回のニュースとなる。
では、記事の冒頭を見ていこうか。
イエメンの親イラン武装組織フーシ派が米軍艦に続いて紅海を通行する民間の船舶を相次いで攻撃した余波で物流に対する不安が強まっている。国際貿易の主要航路が機能せず、海上物流の遅延、物流費の上昇などの現象が可視化している。
「コンテナ運賃50%上昇」…韓国でも紅海物流危機が現実化 | Joongang Ilbo | 中央日報 (joins.com)
このようなイランの武装組織が民間の船舶を攻撃したことで、海上物流の遅延、物流費の上昇などの現象が可視化している。当然、海運コストの上昇は輸入物価の上昇に繋がる。韓国でもコンテナ運賃50%上昇した。つまり、これは今年、各国がインフレを抑えていたのに、輸入物価高騰で再び物価が上がる可能性が極めて高いてことだ。まさに年末の魔物てやつだ。
それでは記事の要点を整理していく。
■記事の要点
.1,海運業界によると、アジア-欧州路線の上海コンテナ運賃指数(SCFI)は22日基準で20フィートコンテナ(1TEU)1個あたり1497ドルと、前週比45.52%(468ドル)上昇した。SCFIは中国上海港を出港するコンテナ船の15航路の短期(spot)運賃を反映した指数で、毎週金曜日に発表される。地中海と米西部・米東部・中東・オーストラリア・南米などを含むSCFI総合指数も1254.99ポイントと、前週比14.8%(161.47ポイント)上昇した。SCFIが1200ポイントを超えたのは昨年11月25日(1229.90)以来およそ1年ぶり。
コンテナ運賃が大幅に上昇したのは、国内外海運企業がフーシ派の攻撃を避けて国際貿易路の核心である紅海-スエズ運河航路を迂回し、物流運送期間が長くなったからだ。フーシ派は10月のイスラエル-ハマス戦争以降イスラエルに対して挑発を続けているが、最近は紅海を通過するイスラエル船だけでなく、すべての民間船に向けて攻撃を拡大している。
2.これに対し世界10大海運会社のうち9社がスエズ運河ではなくアフリカ南端の喜望峰を航海すると宣言した。この中には世界8位規模の韓国大手海運会社HMMも含まれる。HMMは15日から喜望峰を航海しているが、この場合、距離が6500キロも長くなり、所要期間も7、8日長くかかる。世界2位の海運会社デンマークのマースクは24日の声明で紅海運航再開方針を明らかにしたが、実際の運航再開時期は依然として不透明だ。
米東部へ向かう海運運賃も似た状況だ。これに先立ちアジアと米国をつなぐパナマ運河の場合、干ばつによる低水位で船舶の通行を制限してきた。このため船舶はパナマ運河の代わりにスエズ運河に迂回していたが、ここまでがふさがり喜望峰に路線を変えている。
今後、海運運賃はさらに上昇すると予想される。実際、米国に農水産物を納品するイムさん(59)は「船舶会社から来月から運賃を50%ほど上げるしかないという連絡を受けた」と話した。イムさんによると、米ロサンゼルスに向かう40フィートコンテナの場合は2000ドルから3000ドルに、米東部に向かうコンテナは3000ドルから4000ドルに上がるという。
3.紅海をめぐる紛争が長引く場合、物流「ボトルネック現象」が深刻になるという懸念もある。世界商品貿易量の3%がパナマ運河を、12%がスエズ運河を通る。海運業界の関係者は「これまで船舶がスエズ運河やパナマ運河に分かれて移動したとすれば、今は喜望峰に集中してボトルネック現象が表れている」と説明した。2021年に「エバーギブン」号がスエズ運河を通過中に座礁した当時、運河が1週間封鎖され、世界物流の12%に影響が及んだ。
産業部のキム・ワンギ貿易投資室長は「パナマ運河の干ばつ、紅海航路の地政学的リスクが重なり、海上物流の遅延、運賃の上昇などが懸念される」とし「必要ならば輸出バウチャー事業などを通じて企業に物流費を支援することを検討している」と述べた。
以上の3つだ。それでは順番に見ていこう。
まず1だが、海運コストの上昇についてだ。アジア-欧州路線の上海コンテナ運賃指数(SCFI)は22日基準で20フィートコンテナ(1TEU)1個あたり1497ドルと、前週比45.52%(468ドル)上昇した。なんと50%も近く跳ね上がった。468ドルから1000ドル以上も上がったてことだ。しかも、まだまだ上がる可能性が高い。次に2が重要だ。
これに対し世界10大海運会社のうち9社がスエズ運河ではなくアフリカ南端の喜望峰を航海すると宣言した。この中には世界8位規模の韓国大手海運会社HMMも含まれる。HMMは15日から喜望峰を航海しているが、この場合、距離が6500キロも長くなり、所要期間も7、8日長くかかる。
なんと距離が6500キロも長くなり、所要時間も7.8日も長くかかる。まあ、地図を見れば一目瞭然だよな。この6500キロ分の運賃コストが輸入品に上乗せされるのだ。
今後、海運運賃はさらに上昇すると予想される。実際、米国に農水産物を納品するイムさん(59)は「船舶会社から来月から運賃を50%ほど上げるしかないという連絡を受けた」と話した。イムさんによると、米ロサンゼルスに向かう40フィートコンテナの場合は2000ドルから3000ドルに、米東部に向かうコンテナは3000ドルから4000ドルに上がるという。
スエズ運河が使えなくなり,喜望峰ルートだと米国に納品するのもさらに時間がかかる。コストも跳ね上がる。1000ドルということは日本円で142290円の値上げとなる。さらに3はボトルネック現象の深刻化である。
紅海をめぐる紛争が長引く場合、物流「ボトルネック現象」が深刻になるという懸念もある。世界商品貿易量の3%がパナマ運河を、12%がスエズ運河を通る。海運業界の関係者は「これまで船舶がスエズ運河やパナマ運河に分かれて移動したとすれば、今は喜望峰に集中してボトルネック現象が表れている」と説明した。2021年に「エバーギブン」号がスエズ運河を通過中に座礁した当時、運河が1週間封鎖され、世界物流の12%に影響が及んだ。
つまり、スエズ運河が使えないので一斉に他の船舶が喜望峰ルートを経由するようになれば、それだけ移動距離が伸びるので世界中に様々な悪影響を与えると。それで韓国経済の影響だが、海運コストの上昇で製品価格に上乗せされるので、輸入品価格が上がる。また、欧州や米国などに自動車部品などを輸出するときも、その値段を引き上げざるを得ない。輸入物価高騰。輸出低迷。さらに原材料や素材などの遅延も発生するので、製品の生産にも影響を与える。
これは日本も同じなのだが、それだけスエズ運河が無事に通れることが重要だってことだ。長期化すれば来年の世界経済を暗くするだろう。まさに予想がつかない変数そのものである。
最後は中国の話題だ。変数といえば中国不動産企業もそうだよな。でも、全滅コースから逃れられるとは思えない。引用しよう。
中国の不動産大手、碧桂園控股(カントリー・ガーデン)の経営危機が一段と深まっている。
同社は12月8日、董事会主席(会長に相当)を務める楊恵妍氏のグループ経営会議での発言を、SNSの公式アカウントを通じて公表。
それによれば楊氏は、「創業家は私財を投げうってでも会社を支援する。正常な経営に可能な限り速やかに復帰できるよう、有効な方策を見つけ出したい」と発言したという。楊恵妍氏は碧桂園の創業者である楊国強氏の娘だ。
国強氏は2023年3月に経営から身を引き、41歳の恵妍氏が後を引き継いだ。
上述の発言は、支配株主である楊氏一族が、会社に対して資金供出を行う(と表明しなければ、債権者などの協力が得られない)という意味にほかならない。■相対的に財務健全のはずが……
中国の不動産業界では、2021年後半から大手デベロッパーの財務危機が次々に表面化している。
住宅市況の低迷が長引き、民営デベロッパーを中心に(銀行融資や社債などの)債務の借り換えが困難になったためだ。碧桂園は2022年末時点で約1兆4400億元(約29兆円)もの負債を抱えていたが、財務状況は民営大手のなかでは相対的に健全と見られていた。
ところが2023年8月初旬、同社が一部の社債の利払いを期日までに支払えなかったことが表面化し、市場に衝撃が走った。急速な財務悪化の背景には、住宅販売収入の激減がある。
碧桂園の8月単月の権益販売額(訳注:未完成物件の予約販売収入)はわずか79億8000万元(約1612億円)と、前年同月比72%も減少。
同社は2022年には月平均298億元(約6019億円)の販売収入があったが、2023年春以降はそれが一気に落ち込んだ。碧桂園の説明によれば、同社は2023年1月から11月末までの間に約50万戸の住宅を(予約購入した顧客に)引き渡したという。
だが2023年初めの時点では、碧桂園は年末までに70万戸を(予約購入者に)引き渡すとの目標を掲げていた。
現状を鑑みれば、同社が目標を達成するのは極めて難しいだろう。不動産業界の債務危機を重く見た中国政府は、不動産市場を金融面から支える政策を相次いで打ち出している。
中国不動産大手、創業家が「私財投入」の崖っぷち 碧桂園、住宅販売収入の激減で資金繰りに困窮(東洋経済オンライン) – Yahoo!ニュース
10月末に開催された中央金融工作会議では、「金融と不動産の好循環の促進」や
「異なる所有制(訳注:国有および民営)の不動産会社による合理的な資金調達ニーズへの対応」などの方針が打ち出された。【後、省略)
このように私財を投げ打っていくのはいつか恒大できみたち。いよいよ、壁桂園も終わりをむかえるてことだ。そもそもデフォルトして放置されているのがよくわからんが。さっさと清算すればいいものを。
イエメンの親イラン武装組織フーシ派が米軍艦に続いて紅海を通行する民間の船舶を相次いで攻撃した余波で物流に対する不安が強まっている。国際貿易の主要航路が機能せず、海上物流の遅延、物流費の上昇などの現象が可視化している。
海運業界によると、アジア-欧州路線の上海コンテナ運賃指数(SCFI)は22日基準で20フィートコンテナ(1TEU)1個あたり1497ドルと、前週比45.52%(468ドル)上昇した。SCFIは中国上海港を出港するコンテナ船の15航路の短期(spot)運賃を反映した指数で、毎週金曜日に発表される。地中海と米西部・米東部・中東・オーストラリア・南米などを含むSCFI総合指数も1254.99ポイントと、前週比14.8%(161.47ポイント)上昇した。SCFIが1200ポイントを超えたのは昨年11月25日(1229.90)以来およそ1年ぶり。
コンテナ運賃が大幅に上昇したのは、国内外海運企業がフーシ派の攻撃を避けて国際貿易路の核心である紅海-スエズ運河航路を迂回し、物流運送期間が長くなったからだ。フーシ派は10月のイスラエル-ハマス戦争以降イスラエルに対して挑発を続けているが、最近は紅海を通過するイスラエル船だけでなく、すべての民間船に向けて攻撃を拡大している。
これに対し世界10大海運会社のうち9社がスエズ運河ではなくアフリカ南端の喜望峰を航海すると宣言した。この中には世界8位規模の韓国大手海運会社HMMも含まれる。HMMは15日から喜望峰を航海しているが、この場合、距離が6500キロも長くなり、所要期間も7、8日長くかかる。世界2位の海運会社デンマークのマースクは24日の声明で紅海運航再開方針を明らかにしたが、実際の運航再開時期は依然として不透明だ。
米東部へ向かう海運運賃も似た状況だ。これに先立ちアジアと米国をつなぐパナマ運河の場合、干ばつによる低水位で船舶の通行を制限してきた。このため船舶はパナマ運河の代わりにスエズ運河に迂回していたが、ここまでがふさがり喜望峰に路線を変えている。
今後、海運運賃はさらに上昇すると予想される。実際、米国に農水産物を納品するイムさん(59)は「船舶会社から来月から運賃を50%ほど上げるしかないという連絡を受けた」と話した。イムさんによると、米ロサンゼルスに向かう40フィートコンテナの場合は2000ドルから3000ドルに、米東部に向かうコンテナは3000ドルから4000ドルに上がるという。
紅海をめぐる紛争が長引く場合、物流「ボトルネック現象」が深刻になるという懸念もある。世界商品貿易量の3%がパナマ運河を、12%がスエズ運河を通る。海運業界の関係者は「これまで船舶がスエズ運河やパナマ運河に分かれて移動したとすれば、今は喜望峰に集中してボトルネック現象が表れている」と説明した。2021年に「エバーギブン」号がスエズ運河を通過中に座礁した当時、運河が1週間封鎖され、世界物流の12%に影響が及んだ。
産業部のキム・ワンギ貿易投資室長は「パナマ運河の干ばつ、紅海航路の地政学的リスクが重なり、海上物流の遅延、運賃の上昇などが懸念される」とし「必要ならば輸出バウチャー事業などを通じて企業に物流費を支援することを検討している」と述べた。