韓国経済 初心者さん用に1から韓国経済を解説する目的で作成しているコラム。今回の話題はスーパー円安についてだ。まずは本題に入る前に「通貨安」と「通貨高」といった基本事項から解説していこう。
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さて、ここで重要となるのは通貨安も、通貨高も自国の通貨だけでは比べられないてことだ。だから、必ず他の通貨が必要になる。そして、今、1番、重要なのは世界の基軸通貨である米ドルである。
多くの場合、円安、円高といった言葉の裏に隠されている。米ドルに対して円が安いから円安。米ドルに対して円が高い円高。これは韓国の通貨であるウォンも同じだ。
米ドルに対してウォンが安いからウォン安。米ドルに対してウォンが高いからウォン高。まず、これが多くの共通認識である。もちろん、世界では様々な通貨の単位がある。その中で覚えておく必要があるのはドル、ユーロ、円という世界の3大通貨である。
それ以外にもイギリスのポンド、スイスのフランといったハードカレンシーもあるのだが、経済ニュースでよく出てくるのは上の3つだ。もちろん、ウォンなんてハードカレンシーですらなく、ただのローカル通貨である。韓国経済を扱ってなければ見向きもしない通貨といっていい。韓国に旅行するときぐらいしか本来、必要のないものだからな。
これが通貨の基本だ。何に対して安いのか。高いのか。それによって対象が変化するわけだ。まあ、90%はドルに対して述べていることだ。他の通貨に言及する場合、恐らくワンクッション置いてくるだろう。
目次
通貨高と通貨安のメリットとデメリット
ウォン安とは?
悪い円安とは?
通貨高のメリットとデメリット
通貨高や通貨安には「メリット」や「デメリット」が存在する。そして、ここで重要なのはどの通貨でもメリットやデメリットは基本は「同じ」であるということ。だから、どの通貨も同じことがいえる。では、わかりやすく円を使って説明しよう。
とりあえず、お正月にハワイに行く計画を立てた。旅行で使うカバンや着替えなどは日本のお店で買った物をもちこめばいい。しかし、ハワイに行けば当然、円は使えないとはいえないな。まあ、普通のホテルなら円でも使えるだろう。
ただ、説明では円が使えないということにして、円が使えないなら現地通貨である「ドル」に交換する必要があるわけだ。しかし、円とドルでは価値が異なる。なぜなら、日本と米国は物価が全然違うのだ。もちろん、アメリカの方が断然高い。昨年からアメリカはどんどんインフレに悩まされてきたからだ。
だから、アメリカにあるトヨタの工場で働けば時給はいくらかご存じだろうか。なんと普通の生産ラインで働く作業員で34・80ドルだ。でも、34.80ドルって日本円でいくらなんだろう?それが交換レートになる。
34・80ドルは日本円で5109円だ。なんと1時間働くだけで5000円だ。つまり、アメリカのトヨタで8時間働いて1ヶ月の給料をもらって。それを日本で使えば、日本人がトヨタで働く作業員より、数倍の買い物ができるてことだ。これが物価の違いだ。日本の物価はアメリカと違って安い。
ただ、これはあくまでも日本で生活するならだ。実際、アメリカのマクドナルドでビッグマックセットを頼んだらいくらだとおもう?なんと18ドルだ。つまり、2642円だ。これでわかっただろうか。1時間5000円もらっても、アメリカではビッグマックセット2個も頼めないのだ。
これでアメリカが羨ましいと思うのか。日本の方がいいじゃないかと思うかは個人の判断だ。で、メリットはわかっただろうか?
つまり、通貨高のメリットは相手の国の商品をたくさん買えるてことだ。デメリットは相手国がたくさん買ってくれないてことだ。これはわかるだろう。通貨高になれば、当然、その国の商品は相対的に高くなるので売れなくなる。
これを輸出と輸入の言葉で整理しておくと。
通貨安は輸出は伸びるが、通貨高は輸出は伸びない。
通貨安は輸入は減るが、通貨高は輸入が増える。
これが韓国人の日本への旅行が増えたことでもわかるだろう。韓国ウォンは円に対して相対的に高くなった。100円=840ウォンぐらいである。少し前は100円=1000ウォンだった。
だから、韓国人は格安航空を使って日本でたくさん買う方が、韓国内で買うよりも実は何もかも安いのだ。特にフェリーは片道、数千円で日本へ来れるので、韓国内で何か買うより、日本で買った方が安い。
もう一つ日本製ビールの売れ行きなどもそうだ。円安で日本製ビールを安価で販売できるから、韓国人はノージャパンをいつのまにかやめて日本製ビールに殺到した。
無知なマスコミは日本と韓国の政府関係がユン政権で改善したので、多くの韓国人は日本に訪れるようになったとか言いだすが、実はほとんどあってない。単にウォン高・円安で日本に来てもお得感が増えたから。このサイトではこの手の嘘には騙されない。
韓国で日本の輸入車が人気なのも円安効果が大きい。わざわざ物価高の韓国で品質も良くない。サービスも悪い現代車なんて買わないてことだ。
ウォン安とは?
では、次はウォン安について解説しよう。最初に説明したが、抑えてほしいのはウォン安というのはドルに対してウォンが安いてことだ。逆にウォン高というのは円に対してウォンが高いてことだ。
つまり、通貨のペア次第で韓国ウォンはウォン高だったり、ウォン安だったりするわけだ。では、ウォン安とは何か。
まずウォン安とはドルに対して1100~1150という韓国の適正レートがある。これより安い場合「ウォン安」、これより高い場合は「ウォン高」となる。それで、今、韓国の為替レートは1306ウォンなので、1150から150ウォンほど安い。だから、余裕でウォン安ということだ。
それでよく出てくるのが韓国にとってウォン安が良いのか。ウォン高が良いのかだ。正解を述べるとどちらでもない。理想のレートに維持するのが正しいとなる。これは韓国の事情がそうさせるのだ。
確かにウォン安なら輸出が有利になるのはよくわかるだろう。しかし、ウォンが安いてことは、原材料やエネルギーを輸入に頼っている韓国では困るのだ。結局、原材料やエネルギー価格が高ければ、製品単価を引きあげざるを得ない。だから、毎日、韓銀は為替介入を行い、ウォンが安くならないように調整しようとしている。
なら、ウォン高になら良いのか。逆にこれもよくない。なぜなら、他国の輸出が減るからだ。ウォン高になれば韓国製品の価格という唯一のメリットを失ってしまう。これでわかっただろうか。結局、ウォンは高くても、安くてもダメってことが。
悪い円安とは?
それで、最近、たまに聞く「悪い円安」ってなんだてことだ。結論から述べると、通貨安、通貨高にそれぞれメリットやデメリットがある。それは今まで解説してきたとおりだ。だから、こちらは悪い円安なんてものはただの印象操作だと思う。そもそも悪い円安というのは、円安のデメリットが強く出てくることをいう。
でも、円安のメリットだってちゃんと出ているじゃないか。それは先日に紹介しただろう。
財務省が1日発表した7~9月期の法人企業統計調査によると、全産業(金融業と保険業を除く)の経常利益は前年同期比20.1%増の23兆7975億円となった。増益は3四半期連続。非製造業がけん引し、金額は7~9月期として過去最高となった。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「5類」に移行したことで人流が回復し、非製造業が大幅増益となった。一方、海外の景気減速の影響で製造業は減益だった。
非製造業の経常利益は40.0%増と、2021年4~6月期以来の高い伸び。小売業が客足の回復や新規出店効果で好調だった。電気業は燃料価格下落で黒字に転じた。
製造業は0.9%減と2期ぶりに減益。半導体などの供給制約の影響が和らいだ輸送用機械は伸びたが、海外を中心にパソコンやスマートフォン向けの需要が減少した情報通信機械が60.7%減。業務用機械も海外需要減で41.3%減だった。
HTTPS://WWW.JIJI.COM/JC/ARTICLE?K=2023120100296&G=ECO
このように日本の全産業の経常利益は20%増だ。これで悪い円安がと叫ぶのはおかしいだろう?日本企業は円安で製品単価を引きあげて、業績はどんどん伸びている。ただ、労働者に賃金上昇として見返りが少ないのは事実だ。
また、円安によって海外投資家が日本の株を購入しているという事実も重要だ。日経平均が33000円を超えているのは33年ぶりのことだ。まさに失われた30年前の株価を私たちは目撃しているわけだ。
色々とみてきたが、結局、悪い円安といったところで、それぞれメリットやデメリットがある。だが、韓国にとって円安は困るのだ。なぜなら、韓国は日本と競合分屋が多い。それは韓国企業が日本の技術を盗んで産業を育成してきたからという理由もある。
では、これからも円安が進むのかというと、実はそれも判断が難しい。これは韓国は関係ないが、アメリカの利上げが終わりを迎えそうだからだ。パウエル議長がこのような発言をした。
[アトランタ 1日 ロイター] – パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は1日、利上げが行き過ぎ必要以上に景気を減速させるリスクと、インフレ抑制のために十分な利上げを実施しないリスクは「より均衡している」と述べた。その上で、FRBが今後の金融政策決定において慎重であることを改めて確認した。
パウエル議長は、10月までの6カ月間の主要インフレ指標が平均2.5%と、FRBが目標とする2%に近い水準であったことを指摘。金融政策が予想通り景気を減速させていることは明らかであり、政策金利は「かなり制約的な領域に入っている」とし、「われわれは得たいと思ったものを得つつある」と述べた。
スペルマン大学(ジョージア州アトランタ)での講演原稿で、パウエル議長は「われわれの引き締めの効果はまだ十分に現れていない。インフレに対するわれわれの強力な対応は、FRBの信頼性を維持し、将来のインフレ期待を安定的に保った。これほど速くここまで来たのだから、引き締めの過不足リスクが均衡している状況下で、(米連邦公開市場委員会(FOMC)は)慎重に前進する」と言及。FRBが今後、一段の利上げを実施する必要があるかは「データが教えてくれるだろう」と語った。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/GJXTNOCIXFKS3M2XER6TONFYC4-2023-12-01/
この発言でパウエル議長が利上げをすることは恐らく考えてないだろう。
この辺は別コラムで詳しくやりたいと思うが、円安の理由は「日米金利差」である。そのアメリカの金利が下がれば、円がドルに対して高くなっていくのは誰もがわかることだろう。
なので、このコラムを書いて1ヶ月後ぐらいには異なる景色が見えているかもしれない。米国の動向ついてはどうなるかわからないからな。