日別アーカイブ: 2023年9月7日

碧桂園に早くも試練-人民元建て債3年延長案、債権者投票が11日終了-中国人民元の中心レート、54営業日連続で予想より元高水準

碧桂園 中国不動産市場で売上1位の碧桂園。それが8月に債務不履行に陥っており、なんとか5日のデフォルト危機は回避された。世間的には一件落着のように思えるかもしれない。だが、実はそれはまだまだ最初の「試練」を突破しただけに過ぎないとしたらどうだろうか。しかも、次の試練がすぐに差し迫っていたりする。

もちろん、これはただの一企業の危機ではない。中国の大手不動産である碧桂園は抱えているプロジェクトは3千件以上。仮にデフォルトすれば、それが全て中断するのだ。その影響は恒大と比較にならないほど大きいとか。しかも、最終的にはマンション建設なら、工事が中断して、出来てもいないマンションにローンを支払うような人間はいないので、銀行ローンの支払いを拒否されて、その銀行は不良債権を山積みして金融危機にまで発展する。

こうなれば中国だけの問題じゃない。おそらく中国版リーマンショックの到来である。もっとも、そこまで行かなくても中国経済はボロボロになり、この先、沈んでいく未来は必至。一時はアメリカを超えるとさえいわれた中国の栄華はここに来て終焉を迎える。

だが、中国は孤独じゃない。だって、韓国もそのまま沈んでいくのだから。中国と韓国は一蓮托生だ。中国がハリケーンに襲われてて沈んでいくなら、韓国もその巨大な波に襲われる。いやいや、その前に9月危機説がありますよね?とか韓国内事情はあるにせよ。こちらからすれば、韓国経済において中国の影響は計り知れない。つまり、中国と韓国の経済危機を同時にリアルタイムで取り上げていくことで、一粒も、二粒も美味しいわけだ。しかも、これが「来年」も続いていくんだからな。むしろ、来年のほうが試練だよな。特に中国の場合は。

では、今回の記事の冒頭を見ていこうか。

ドル建て社債2本の利払いを猶予期間内に何とか実施した中国の不動産開発大手、碧桂園にとって次の大きな試練が11日にやってくる。同社が提案した社債の償還延長に関する債権者の投票が同日終了する。 

碧桂園は複数の人民元建て債で元本支払いの3年延長を提案。これに関する投票が7日に始まり、11日に終わる。最も差し迫っているのが元本残高14億3500万元(約290億円)のプッタブル債で、14日には投資家の償還要求が可能になる。

碧桂園に早くも試練-人民元建て債3年延長案、債権者投票が11日終了 (msn.com)

このように次の試練は9月11日だ。社債の償還延長に債権者が応じるかどうかの投票だ。応じたところで金が返ってくる可能性は低いんだよな。なぜなら、これから続々と他の債券も満期を迎えていくからだ。つまり、今なら延長を拒否して資金を回収できる可能性が高い。ええ?デフォルトすれば返ってこないんじゃないの?と思うかもしれない。

でも、実は違うのだ。以前、クレディスイスの破産の時に劣後債について優先順位について触れたのを覚えているだろうか。仮にデフォルトしたときに、その企業に資産があれば優先順位で返ってくるのだ。まずはそこを復習しておこう。

元本や利息などの支払い順位の優劣のこと。


デフォルト時に於いては、特定の取り決めがある場合はこれが優先される。例としては、特別法に基づいて発行され、他の債権者よりも優先して弁済を受けられる権利がつく一般担保付社債。通常の社債よりも元本及び利息の支払い順位が低く債務不履行のリスクが大きい代わりに、利回りが相対的に高く設定される劣後債などが存在する。


これらの取り決め等がない場合は、既に弁済期を迎えているもの・債務者に取って弁済の利益の多いもの(利息付きか否か等)・弁済期日の順・債務の額の順に優先順位が判断され、その後優先順位の高いものの中から費用(訴訟費用などといった経費)・利息・元本の順位に弁済される。

例:普通株、優先株、劣後債、無担保社債、担保付社債を発行している企業がデフォルトした際の一般的な弁済順位

担保付社債(担保分のみ) > 無担保社債 > 劣後債 > 優先株 > 普通株

弁済順位|Siiibo証券(シーボ)|社債専門ネット証券で、企業に直接投資

このような優先順位というのものが存在しており、償還延長すれば、この優先順位を他の債務に譲ってしまうことになるわけだ。だから、ここで償還延長を拒否すれば、既に弁済期を迎えているものとなるので、この先、はいってくる売掛金などで弁済される可能性が高い。特に無担保社債は優先順位は高い方なので、金額は減るかもしれないがゼロにはならないだろう。

だから、今の債権者としては要求を飲むリスクを考えるだろう。デフォルトして支払額が減るリスクも同時に存在するので悩みところではあるとおもうが、どうするかは11日にわかると。これが直面の試練だ。上のデフォルト時の優先順位はこれからどこかで使うことはあるかもしれないので、覚えておくといいだろう。

では、記事の要点を整理していこう。

■記事の要点

1.このため、今回の債権者投票の結果は、碧桂園の今後を大きく左右する。承認の獲得に失敗すれば、14日にも数カ月で最大規模の返済に見舞われる可能性がある。今月24日には、より規模が大きい元本残高20億元のプッタブル債でも繰り上げ償還の要求が可能となる。さらに、碧桂園は14-19日にオフショア債3本、元建て債2本で計3160万ドル(約47億円)相当の利払いも控えている。

2.ルクロー・アナリティクスのシニアクレジットアナリスト、レナード・ロー氏は6日、「碧桂園の将来的なデフォルト(債務不履行)リスクはなお非常に高く、今後の利払い期限はいずれもリスクイベントになり得る」と指摘。「これから償還期限を迎えるオフショア債についても、碧桂園は延長や再編を探らなければならないだろう」と分析した。

以上の二つだ。それでは順番に見ていこうか。

まず1だが、この投票の結果が碧桂園の今後を大きく左右すると。拒否されたら、14日にも債権者に要求されると。しかも、24日は20億元の「ブッタブル債」とか。因みにブッタブル債とは上に書いてあるとおり、繰り上げ償還の要求できる債券のことだ。満期前に発行体に対して償還を要求する権利を 債券保有者が持っている債券で、債券価格が下がると、繰り上げ償還を要求することが可能だ。

ついでにオフショア債も説明しておくと。これは租税環境を優遇している地域や国のことをさす。そこで発行される債券のことをオフショア債という。例えば、アジアなら香港、シンガポール、マカオなど。租税優遇されているなら、投資家としてはメリットは大きいだろう。では、話を戻そう。

だから、承認の獲得に失敗すれば20億元、日本円で402億円の支払いを請求されると。しかも、それだけじゃない。14-19日にオフショア債3本、元建て債2本で計3160万ドル(約47億円)相当の利払いも控えている。おいおい、どんだけ綱渡りなんだよ!

まあ、そりゃ全体の債務が27兆円だったものな。うんうん。この綱渡りが全て「今月中」のことなんだ。皆さん、まさにリアルタイムで最高のショーを目撃する瞬間に出くわしているのだ。経済好きならこの手のイベントは外せない。

それで、次の2は専門家の意見だ。「碧桂園の将来的なデフォルト(債務不履行)リスクはなお非常に高く、今後の利払い期限はいずれもリスクイベントになり得る」と指摘。「これから償還期限を迎えるオフショア債についても、碧桂園は延長や再編を探らなければならないだろう」と分析した。

このようにデフォルトする可能性は高い。しかも、毎回、利払い期限がリスクイベントになるとか。本当に綱渡りがお好きのようだ。

まさにゲームで例えるなら、スペランカーだな。あの段差一㎜でもずれていたら死ぬ主人公を操作して、しかも、ノーミスでゲームクリアするような超難易度である。一件でも拒否られたら、それが他にも連鎖して皆、拒否していくのでジーエンドだろうな。

では、それにも関連するのだが、最近、人民元が政府の大規模介入をしていても、その下げが止まらない。これを引用しておく。

中国人民元のドルに対する下げが続き、16年ぶりの安値に近付いている。中国当局が人民元の下支えをやめる気配はない。

  中国人民銀行(中央銀行)は7日、人民元の中心レートを54営業日連続で予想より元高水準に設定。ブルームバーグが集計を始めた2018年以降で最も長い期間となった。1営業日当たりの対ドル許容変動率は中心レートから上下2%だが、今週は元売りが膨らみ、下限近くまで下落する場面もあった。

  中国当局は元安に歯止めをかけようと動いているが、中国経済の見通しが厳しさを増し、米金融当局との政策面での開きも重しとなり、人民元は07年以来の安値水準に向かっている。

DBS銀行のマクロストラテジスト、ウェイ・リアン・チャン氏は、「元安を許容し過ぎると、アジア全域で通貨安競争のリスクが生じ、資本流出に拍車がかかり、輸出セクターの利益はわずかなものになるだろう」と指摘。その上で、「中国が元安に傾斜し続ける一方、急激なドル高になればある程度の調整はあると考えている」と語った。

  この日の本土市場で人民元は若干下げ、1ドル=7.32元前後で推移している。

中国人民元の中心レート、54営業日連続で予想より元高水準-元安続く – Bloomberg

このように中国の人民元のレートがヤバい。しかも、これは韓国のウォン安。いま、1335ウォンぐらいだが、それにも大きく関わっている。つまり、人民元安=ウォン安なので、こちらの動向もかかせないわけだ。そして、人民元もドル売り介入が頻繁に行われているので、中国が持っている米国債がどんどん売られていく。

それで、ASEAN会合や、G20参加するために海外に出張している岸田総理がインドネシアで中国の首相と立ち話をしたそうだ。当然、例の海洋放出で岸田総理は抗議したんだろうな?見ておこうか。

岸田総理大臣は、訪問先のインドネシアで中国の李強首相と個別に立ち話を行い、福島第一原発の処理水の海洋放出について、日本の立場を説明し、理解を求めました。

ASEAN=東南アジア諸国連合との一連の会議に臨むため、インドネシアを訪れている岸田総理大臣は6日午後、会議の合間に、中国の李強首相と個別に立ち話を行いました。

政府関係者によりますと、この中で岸田総理大臣は、中国が反発する東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出について、科学的な基準に照らして安全性が確保されているなどとした日本の立場を説明し、理解を求めたということです。

また両首脳は、建設的かつ安定的な日中関係の構築を目指していくことを改めて確認したとしています。

一方、岸田総理大臣は、これに先立って開かれた日本とASEANとの首脳会議でも処理水放出の安全性を説明し、各国の首脳らに理解を求めました。

さらに、このあと岸田総理大臣は、ASEANと日中韓3か国との首脳会議にも出席し、処理水放出をめぐって中国が日本産の水産物の輸入を全面的に停止したことについて「突出した行動をとっている」と指摘し、科学的根拠に基づく行動や正確な情報の発信を求めていく考えを示しました。

中国 李強首相「責任持って対応すべき」

中国国営の新華社通信によりますと、李強首相はASEANと日中韓3か国の首脳会議のなかで、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、中国側の立場を説明したということです。そのうえで処理水を「汚染水」ということばで表現し「『汚染水』の処理は世界の海洋の生態環境や人々の健康にかかわるものであり、日本側は自らの国際的義務を忠実に履行しなければならない。隣国などの利害関係者と十分に協議し、責任を持って対応すべきだ」と述べたとしています。

岸田首相 中国 李強首相に水産物輸入停止措置直ちに撤廃求める | NHK | 日中関係

なんだよ。全然、だめじゃないか。こういう連中にいつまで舐められているんだろうな。中国は今回の件で、完全に墓穴を掘ったのだから、そこを一気に攻めろよ。本当、甘ちゃんだよな。岸田総理は!

(ブルームバーグ): ドル建て社債2本の利払いを猶予期間内に何とか実施した中国の不動産開発大手、碧桂園にとって次の大きな試練が11日にやってくる。同社が提案した社債の償還延長に関する債権者の投票が同日終了する。

 碧桂園は複数の人民元建て債で元本支払いの3年延長を提案。これに関する投票が7日に始まり、11日に終わる。最も差し迫っているのが元本残高14億3500万元(約290億円)のプッタブル債で、14日には投資家の償還要求が可能になる。

  このため、今回の債権者投票の結果は、碧桂園の今後を大きく左右する。承認の獲得に失敗すれば、14日にも数カ月で最大規模の返済に見舞われる可能性がある。今月24日には、より規模が大きい元本残高20億元のプッタブル債でも繰り上げ償還の要求が可能となる。

 さらに、碧桂園は14-19日にオフショア債3本、元建て債2本で計3160万ドル(約47億円)相当の利払いも控えている。

ルクロー・アナリティクスのシニアクレジットアナリスト、レナード・ロー氏は6日、「碧桂園の将来的なデフォルト(債務不履行)リスクはなお非常に高く、今後の利払い期限はいずれもリスクイベントになり得る」と指摘。「これから償還期限を迎えるオフショア債についても、碧桂園は延長や再編を探らなければならないだろう」と分析した。

  碧桂園に連絡を取ったが、同社はコメントを控えた。