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中国 経済苦境はおそらく30年前の日本以上-中国製EVが「バカ売れ」するウラで、中国で「EV墓場」が大問題になっていた! 

中国 なんか中国経済の話題を取り上げると、いつお日本の失われた30年がクローズアップされるわけだが、昨日の記事でも取り上げたが、そもそも30年前の日本と今の中国では環境が全く異なるのだから,単なる比較だけしても意味はない。30年前といえば携帯電話が普及していない。ポケベルなんていう機械は現代の子には通じないかもしれないが、その絶世期である。

昔の古い漫画というか。あの国民的な推理漫画の「名探偵コナン」 もにポケベルが出てくる!ええ、嘘だろうと思うかもしれないが,1巻か、2巻に出てくるんだ。つまり、コナンの連載初期である。それから30年経過してもコナンは未だに連載を続けているわけだが、30年前と今では全然違うのだ。だから、日本の失われた30年と、現代の中国を比べても酷いとか。そういう話に何処まで信憑性があるのかは不明だ。

それで、今回の記事では単純な比較ではなく、今、中国に起きていることが日本の失われた30年とは違うという点だ。そこが書かれてあるので特集してみた。

では、記事の冒頭を読んでいく。

台湾メディアの工商時報は19日、「目下の中国経済は伸び悩んでおり、1990年代以降経済停滞に陥った日本と比較して、両国の状況はほぼ同じだと見る専門家もいる」とした上で、中国本土の経済的苦境は30年前の日本以上だとする米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの記事を紹介した。

中国の経済苦境はおそらく30年前の日本以上―米メディア (recordchina.co.jp)

状況がほぼ同じ。日本の失われた30年を体験したことがない記者や専門家がてきとうなことを書いて論じてるだけ。こちらはその30年間の当事者だからな。その当時と比べても中国経済がより深刻な状況を抱えてることは簡単に理解できる。

それでは今回の記事の要点を整理していく。前半は経済苦境はおそらく30年前の日本以上という話。後半は中国製EVについて。以前に取り上げた中国のEVの墓場についても言及されているが、それは軽く触れる程度にしていく。

■記事の要点

1.ウォール・ストリート・ジャーナルは「1990年代初め、日本の不動産と株式市場のバブルがはじけた後、景気が下り坂になり、長期に回復できなかった」と指摘。「中国も同様で、長年の高度経済成長を経て不動産バブルがはじけた。政府は借り入れや消費を促しているものの、中国の消費者たちは住宅ローンを繰り上げ返済に動いている。しかし、金利が下がっているにもかかわらず民間企業が投資を控えていることは、金融緩和の効力が失われることを意味する」とした。

2.また、「中国は日本よりもさらに厄介な問題に直面している。たとえば急速な人口高齢化だ」とし、
「中国の人口は昨年から減少し始めた。日本では2008年、つまりバブル崩壊から20年近くたってからようやく人口減少が起きた」とその違いに言及。「さらに悪いことに、中国は富裕国の仲間入りを果たす前に成長率の低迷を迎えた。すなわち『未富先衰』である」と指摘し、世界銀行のデータを基に「昨年の中国の1人当たりの所得は1万2850ドルで、1991年の日本の1人当たりの所得水準2万9080ドルを大きく下回っている」とした。

3.このほか、債務問題にも触れ、「JPモルガンのデータによると、もし地方政府の計上されていない借入金を含めると、昨年の中国の公的債務総額の対国内総生産(GDP)比は95%となる。91年の日本の同比率は62%にとどまる」とも述べた。同紙は「中国は外部から受ける圧力も厳しい」とし、「米中は現在『新冷戦』を迎えていると言われるが、日本はこれまでそうしたリスクに直面したことはない。米国と同盟国らが一連の措置を講じて中国の先進技術獲得を阻止し、サプライチェーンの中国依存を減らしており、各国の中国への直接投資も激減している。長期的に見て、これは中国の経済成長を大きく緩めることになる」と論じた。

4.EVは生産時に温暖化効果ガスを大量に輩出することから、すぐに廃棄されれば気候変動対策としてメリットは大幅に減じてしまう。車両の使用済みバッテリーにはニッケルやリチウム、コバルトなどの希少金属が含まれており、リサイクルをしなければ資源の無駄遣いになることは言うまでもない。

中国ではEVの急成長の負の遺産が顕在化しているが、海外でもEVに対する風当たりが強くなっている。EVの重量はガソリン車よりも平均で約450キログラム上回ることから、衝突時の危険性が指摘されるようになっている。全米研究所によれば、車1台の重量が450キログラム増えれば、追突事故で死亡する可能性は47%高まるという。

英国では議会関係者の間で「中国製EVが英国内での中国によるスパイ活動を可能にする」との懸念が広がっている(8月6日付英テレグラフ)。中国製スマホで同様の問題が指摘されてきたが、中国製EVも大量の情報を収集する手段になりうるというわけだ。

欧州連合(EU)は9月13日、国家補助金の恩恵を受けている中国製EVに対する関税導入の検討を開始しており、好調だったに輸出の環境にも陰りが見えてきている。

5.9月10日付ロイターは「中国の自動車労働者を襲う賃下げ、需要減と値下げの悪循環」と題する記事を報じた。政府が投じた多額の援助が引き起こした過剰生産能力が災いして、中国ではEVの価格競争によって自動車メーカーは、ギリギリのコスト削減を迫られている。

そのため、3000万人に上る自動車産業労働者や10万社を超える自動車部品メーカーに深刻なしわ寄せが及んでいるという。EVが売れても中国経済が一向に潤わない現状について、エコノミストらは「中国の自動車産業は価格競争のあおりで経済成長の足を引っ張る可能性さえある」と警告している。

このように、中国製EVを巡る環境は厳しさを増すばかりだ。残念ながら、中国経済の苦境脱出の決め手にはならないのではないだろうか。

以上の5つだ。それでは順番に見ていこうか。

まず1だが、WSJの記事にある日本の失われた30年前との比較だ。特に重要なのは「金利が下がっているにもかかわらず民間企業が投資を控えていることは、金融緩和の効力が失われることを意味する」

これだ。前回にも中国経済の状況に触れたときに軽く金利を下げていることに言及したが、そもそも、金利を上げたり,下げたりするのはどうしてなのか。経済や金融ではものすごく初歩的な事であるが、今一度、解説しておく。

これは一般的な話だが、日本やアメリカも同様だが、景気が上向いてきてインフレが加速すると、これを放置すれば、さらにインフレが進むので金利を上げる。逆に景気が悪いときはデフレになっていくので、それを抑えるために金利を下げるのだ。つまり、金利の大前提にあるのは「物価コントロール」のわけだ。政府は物価をコントロールしたいので、金利の上げたり、下げたりする。

では、簡単に金利を上げた場合と下げた場合の効果について解説しよう。まず、金利を上げた場合、これは昨年からアメリカや韓国経済を特集してきたのでわかるとおもうが、金利を上げれば民間の貸出金利が上昇する。

つまり、お金を借りたい個人や法人にとっては利息が高くなるので、資金調達が難しくなる。これは投資を減少させる効果だ。個人は金利が高いときに高いローンを組むのは控えるだろう。法人の場合は大規模な投資をしたくても利息が高いと難しい。投資そのものを減少させるか控える。

さて、個人がお金を使うのを控えればどうなるのか。当然、物が売れにくくなる。これが購買力の低下てやつだ。物が売れなくなれば,企業は値引きセールしてでも在庫処分することになるので、物の値段が下がる=物価が下がる。このような仕組みだ。

ここで勘が鋭い人は気づいてきたと思うが、こちらが経済指標を見るときに、インフレの動向を確認するときに注目していた経済指標が実は上の説明に基づいたものである。

例えば、米CPIやPPIはそのままである。消費者物価と生産者物価を見ることで現在の物価が前年や前月よりどうなったかを把握する。次にFOMCの基準金利を見れば、現在の金利が高いか、低いかがわかる。個人の消費なら、小売り販売を見ればいいわけだ。法人の場合は設備投資などが当てはまる。

これが金利を上げた効果である。では、逆に中国のように金利を下げた場合はどうなのか。金利を下げた場合は金利を上げた場合の逆効果になるといっても不正解ではないのだが、実はそんな簡単な話ではない。金利を下げれば企業が資金調達しやすくなり、投資が上向きやすい。これはわかるだろう。

なら、個人の場合はどうなのか。金利が下がったからと高いローンを組むのだろうか。答えはノーだ。金利が下がっても所得が増えるわけではない。しかも、金利が一度、下がればもっと下がる可能性が出てくるからだ。あれ?中国経済でデフレを説明するときに似たような事を述べていたと思った人は正解だ。実際、中国は輸出が回復しているとか言いながら、金利を何度も下げている。

景気が悪いから金利を下げるのだから、景気がすぐに上向くことはまずない。なら。金利はどんどん下がるのだ。そして、時間が経過してようやく景気が上向いてくる。それが日本の場合は30年ほどかかったことになる。まあ、実際、インフレや円安効果というのも大きい。ただ、実質賃金が思ったより上がってないので、まだまだ日本経済が上向いたかどうかの判断は難しい。でも、GDPも高い成長して良い線まではいっているんじゃないか。それが今後の日本経済の動向を追えばわかる。

つまり、中国が金利を上げたとき、景気低迷から抜け出したことになる。だから、中国がそれをしない限り景気低迷は続いてることになる。

次に2だが、「さらに悪いことに、中国は富裕国の仲間入りを果たす前に成長率の低迷を迎えた。すなわち『未富先衰』である」と指摘し、世界銀行のデータを基に「昨年の中国の1人当たりの所得は1万2850ドルで、1991年の日本の1人当たりの所得水準2万9080ドルを大きく下回っている」とした。

これは大きな違いだ。日本は1991年で3万ドル水準まできていた。しかし、中国は1万2850ドルだ。ここから日本と同じ景気低迷が続けば、中国が先進国どころか、G20にさえ止まるのが難しいてことだ。ええ?GDPは世界第2位なのにな。しかし、1人当たりの所得は日本が4万ドルだとすれば中国は3分の1以下と。この統計が何処まで信用出来るかはわからないが,30年前の日本とは全然違う。

次に3だが、このほか、債務問題にも触れ、「JPモルガンのデータによると、もし地方政府の計上されていない借入金を含めると、昨年の中国の公的債務総額の対国内総生産(GDP)比は95%となる。91年の日本の同比率は62%にとどまる」とも述べた。この前、借金2000兆円でGDP8割だったのに、気がつけばGDP95%まで増えているぞ。隠れ負債がどんだけあるんだよ!

同紙は「中国は外部から受ける圧力も厳しい」と。これは中国がこんな経済状態なのに全方位に喧嘩を売っているからだ。あくまでも高圧的な外交、領土侵略の意思が見え隠れしたもの。米中の新冷戦で欧米からの投資が激減したことはすでに過去に紹介した。それなのに日本の福島原発処理水の海洋放出ではプロパガンダに利用するためだけに大批判を展開して、無知な中国人を焚きつけて自国の漁業まで壊滅に追いやるという。ただのアホですね。

それで4からはEVの話になるが、大事なのは最後だ。欧州連合(EU)は9月13日、国家補助金の恩恵を受けている中国製EVに対する関税導入の検討を開始しており、好調だったに輸出の環境にも陰りが見えてきている。まあ、これがEVバブルのトドメになると。でも、欧州勢のEVは売れないからな。課税強化してもたいした痛手はないと。5については一度触れたことだ。中国ではEV工場で賃下げラッシュというやつだ。ここには書いてないがテスラの値下げ競争が原因だと付け加えておく。

台湾メディアの工商時報は19日、「目下の中国経済は伸び悩んでおり、1990年代以降経済停滞に陥った日本と比較して、両国の状況はほぼ同じだと見る専門家もいる」とした上で、中国本土の経済的苦境は30年前の日本以上だとする米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの記事を紹介した。

ウォール・ストリート・ジャーナルは「1990年代初め、日本の不動産と株式市場のバブルがはじけた後、景気が下り坂になり、長期に回復できなかった」と指摘。「中国も同様で、長年の高度経済成長を経て不動産バブルがはじけた。政府は借り入れや消費を促しているものの、中国の消費者たちは住宅ローンを繰り上げ返済に動いている。


しかし、金利が下がっているにもかかわらず民間企業が投資を控えていることは、金融緩和の効力が失われることを意味する」とした。

また、「中国は日本よりもさらに厄介な問題に直面している。たとえば急速な人口高齢化だ」とし、
「中国の人口は昨年から減少し始めた。日本では2008年、つまりバブル崩壊から20年近くたってからようやく人口減少が起きた」とその違いに言及。「さらに悪いことに、中国は富裕国の仲間入りを果たす前に成長率の低迷を迎えた。すなわち『未富先衰』である」と指摘し、世界銀行のデータを基に「昨年の中国の1人当たりの所得は1万2850ドルで、1991年の日本の1人当たりの所得水準2万9080ドルを大きく下回っている」とした。

このほか、債務問題にも触れ、「JPモルガンのデータによると、もし地方政府の計上されていない借入金を含めると、昨年の中国の公的債務総額の対国内総生産(GDP)比は95%となる。91年の日本の同比率は62%にとどまる」とも述べた。同紙は「中国は外部から受ける圧力も厳しい」とし、「米中は現在『新冷戦』を迎えていると言われるが、日本はこれまでそうしたリスクに直面したことはない。米国と同盟国らが一連の措置を講じて中国の先進技術獲得を阻止し、サプライチェーンの中国依存を減らしており、各国の中国への直接投資も激減している。長期的に見て、これは中国の経済成長を大きく緩めることになる」と論じた。

そして、「中国政府は金利の引き下げや民間企業への支援を表明したが、これまでのところ信頼回復にはほとんど効果を発揮していない。多くのアナリストは、中国政府が経済停滞の長期的なリスクを過小評価しており、回避に向けた取り組みが少なすぎると懸念している」と指摘した。(翻訳・編集/北田)

世界市場を席巻する中国製EVだが、瀕死の中国経済の救世主になることはできだろうか。実は、中国ではEVが急速に普及したことで、様々な問題が生じ始めているのだ。

中国に登場した「EV墓場」


中国では今年の夏、各地で豪雨災害が発生し、EVの水没被害が注目されるようになっている。EVが洪水で次々と流されていくニュース映像は人々に衝撃を与えたからだ。

EVは、バッテリーやモーターなどのコストが全体の6割以上を占めることから、水没した場合、ガソリン車よりも修理費用は高くなる。さらに、EV向け車両保険の支払いが急増した影響で、今後、保険価格の値上げが懸念されている。

EVの大量廃棄の事案も発生している。

浙江省・杭州の郊外にある古びた小さな寺院から、膨大な数の新車同然のEVがゴミの中に放置されていることが明らかになった。

このことを報じたブルームバーグ(8月22日付)は「まるでEVの墓場のようだ」と評している。

欧州が警戒する「中国製EV」

EVは生産時に温暖化効果ガスを大量に輩出することから、すぐに廃棄されれば気候変動対策としてメリットは大幅に減じてしまう。車両の使用済みバッテリーにはニッケルやリチウム、コバルトなどの希少金属が含まれており、リサイクルをしなければ資源の無駄遣いになることは言うまでもない。

中国ではEVの急成長の負の遺産が顕在化しているが、海外でもEVに対する風当たりが強くなっている。EVの重量はガソリン車よりも平均で約450キログラム上回ることから、衝突時の危険性が指摘されるようになっている。全米研究所によれば、車1台の重量が450キログラム増えれば、追突事故で死亡する可能性は47%高まるという。

英国では議会関係者の間で「中国製EVが英国内での中国によるスパイ活動を可能にする」との懸念が広がっている(8月6日付英テレグラフ)。中国製スマホで同様の問題が指摘されてきたが、中国製EVも大量の情報を収集する手段になりうるというわけだ。

欧州連合(EU)は9月13日、国家補助金の恩恵を受けている中国製EVに対する関税導入の検討を開始しており、好調だったに輸出の環境にも陰りが見えてきている。

最も深刻な問題は、中国の自動車業界の内情が厳しいことだろう。

中国人労働者を襲うリストラ

9月10日付ロイターは「中国の自動車労働者を襲う賃下げ、需要減と値下げの悪循環」と題する記事を報じた。政府が投じた多額の援助が引き起こした過剰生産能力が災いして、中国ではEVの価格競争によって自動車メーカーは、ギリギリのコスト削減を迫られている。

そのため、3000万人に上る自動車産業労働者や10万社を超える自動車部品メーカーに深刻なしわ寄せが及んでいるという。

EVが売れても中国経済が一向に潤わない現状について、エコノミストらは「中国の自動車産業は価格競争のあおりで経済成長の足を引っ張る可能性さえある」と警告している。

このように、中国製EVを巡る環境は厳しさを増すばかりだ。残念ながら、中国経済の苦境脱出の決め手にはならないのではないだろうか。